東京五輪での活躍で久保建英の去就はどうなる? マドリー番記者に訊いた。「タケが好印象を抱いているチームが…」

2021年08月02日 セルヒオ・サントス

本人の希望を最優先

ここまで3ゴールと東京五輪で躍動している久保。(C)Getty Images

 宙に浮いたまま8月を迎えたが、これはレアル・マドリーに復帰したいという本人の希望を最優先しているからに他ならない。

 可能性は極めて小さい。タケもそれを承知しているが、希望がある限り、その閉じかかっている扉をこじ開ける覚悟だ。その絶好のアピールの場となっているのが現在開催されている東京オリンピックであることは言うまでないが、実際、ここまで日本代表の攻撃を牽引する活躍を見せている。

 復帰へのハードルとなるのはやはりEU圏外枠だ。現在ヴィニシウス・ジュニオールのスペイン国籍の取得手続きが大詰めを迎え、クラブとしては早期に決着させたい考えだ。昨シーズンはそのヴィニシウスに加え、エデル・ミリトンとロドリゴの3選手がEU圏外枠を使用。トッテナムからレンタルバックしたウェールズ代表ガレス・ベイルもイギリスがEUから離脱したことでその対象になる可能性があったが、先日、EU圏外選手として扱われないことが取り決められた。

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 レアル・マドリーの財政状況もタケの去就を左右する重要な要素だ。ライバルのバルセロナほどでないにせよ事態は深刻で、その影響でほぼ全ての選手が売却対象になっている。

 その中から構想から外れている選手をできうる限り高額で売却して収支を改善し、今夏、あるいは来夏のキリアン・エムバペの獲得資金に充てる。これがマドリーの思い描いている青写真で、そんな不確定要素が多い状況が、タケが復帰に一縷の望みをかける心の支えにもなっている。

 構想外組の中でタケの去就にダイレクトに関わってくるのがベイルとイスコだ。2人とも来年6月に契約が満了し、首脳陣はそのタイミングを待ってタケを復帰させたい意向を持っている。

 しかし既述したように、今のマドリーは何が起こるか分からない。過去にも当初、新たなレンタル先を探していたところ、ポール・ポグバ(現マンチェスター・ユナイテッド)の獲得が見送られたことで、方針を変更し復帰が決まったフェデリコ・バルベルデのケースもある。

 対照的にタケと同じ状況にあったブラヒム・ディアスは出場機会を求めて早々にミランへの再レンタルを決めた。しかしタケはあくまでオリンピックに集中し、大会が終わり次第、マドリーの状況を踏まえたうえで最終的な決断を下す考えだ。
 

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