不完全燃焼の1年目を終えた柿谷曜一朗。確かな評価を得ながら起用されなかった理由とは?

2015年06月08日 中野吉之伴

指揮官も柿谷の能力を高く評価するが、起用されるのは攻守のタスクをこなせる人材。

柿谷の能力には多くの関係者が高い評価を与えるが、試合には起用されないジレンマを抱えたシーズンだった。(C) Getty Images

 柿谷曜一朗が所属するバーゼルは、7日に行なわれたスイスカップの決勝でFCシオンに0-3で敗れ、3年連続の準優勝。今年も二冠達成は果たせなかった。しかしリーグでは6連覇を成し遂げ、相変わらずスイス国内では絶対的な存在として君臨している。
 
 柿谷はこの試合でもベンチ外だった。シーズン前に華々しく迎えられ、ファンからの期待も大きかったものの、最後までポジション争いを勝ち抜くことができなかった。
 
 入団会見ではパウロ・ソウザ監督が「いいタイミングでペナルティエリアに飛び込めてゴールを取れる選手で、攻撃的な3つのポジションでプレーできる。ゴールにつながるプレーをしてくれたら嬉しい」と語っており、今でも「とてもフレンドリーで、朗らかな人間だ。サッカー選手としては必要なすべてを持っている。技術レベルが高く、スピードもある」とその素質は高く認められている。
 
 しかし、それでも出番はなかなか与えられない。それはなぜか。29節・ルツェルン戦前の記者会見で登場した柿谷は「後半戦、チームにも上手く入っていけて、プレーの仕方にも慣れてきたという感覚はある」と手応えを口にしながらも、プレー機会が少ないことに関しては「言葉で説明するのは難しい。毎日準備して待っている。でも起用されている選手はみんな、しっかりとした結果を残している。たぶん、そこに要因があるのかも」と自身の置かれた境遇をそう説明していた。では、その"結果"とはなんだろうか。
 
 ゴールやアシストという数字は目に見えた分かりやすい結果だ。しかしそれだけではない。プロセスのないところに結果はないからだ。数字だけで見るならば、頻繁に起用されている選手すべてがゴールやアシストといった結果を残しているわけではない。彼らはチームの結果に必要な攻守両面でのプロセスを監督の要求通りに表現することができるからこそ起用されるのだ。

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