【中断明けの青写真|栃木】的確な補強でパワーアップ! 新加入・豊田ら力のある前線を活かす連係に期待!

2021年07月29日 鈴木康浩

「明らかにチーム全体のパワーは増した」(田坂監督)

鳥栖から元日本代表の豊田が加入。得点力に大きな前進が見えれば浮上のきっかけになるだろう。(C)J.LEAGUE

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2・栃木SCを取り上げる。

――◆――◆――

 栃木はハイプレス戦術を軸とした戦い方は徹底できているが、昨季の主軸となった選手たちが個人昇格した穴を、いまだに埋め切れていない。また、対戦相手の周到な栃木対策を前に、苦しい戦いを余儀なくされている。23節終了時点でわずか4勝、順位は17位と降格圏の一歩手前に付ける。

 浮上の足かせになっているのは、手堅い守りには定評がある栃木らしからぬ失点数の多さだ。23節終了時点で「30」に到達している現状はいただけない。田坂和昭監督も、「サイドのパワー不足」を一因に挙げている通り、今季はハイプレスで前掛かりに奪いに行ったときに、サイドで奪い切れずに掻いくぐられるシーンが増えており、それが失点数の増加に繋がっている。
 
 ただ、抱える課題が明確だったことから、強化部が打つ手も早かった。栃木は他チームをリードするように早々に補強に動いた。6月中に昨季のチームを支えたサイドバックの黒﨑隼人を大分から、オビ・パウエル・オビンナを横浜F・マリノスから呼び戻すと、7月上旬には鳥栖から元日本代表の豊田陽平を獲得。いずれも栃木のチームスタイルに沿った的確な補強だった。中断期間に入る前の23節・甲府戦にはさっそく3選手が揃い踏みし、「明らかにチーム全体のパワーは増した」(田坂監督)という感触を得るに至った。

 攻守の核となる選手たちが加入したことに伴い、残りの19試合で予想されるのは、昨季のように力ずくで攻撃の回数を確保するシーンが増えるだろうということ。そうなったときに肝心なのは、いかに試合に勝ち切るためのゴールを奪い切れるかになる。
 

次ページ中断期間中に軸足を置くのは“攻撃面”

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事