【連載】識者同士のリーガ放談「バルサは優勝する。そう言い切っていい」

2015年06月05日 豊福晋

メッシにマンマークを付けても意味はない。

このメッシを抑えるのは事実上不可能。仮に抑えられたとしても、ネイマール、スアレスと二の矢三の矢を放っていけるバルサが優位だと、ロホ記者は語る。 (C) Getty Images

豊福晋:今回のテーマは、もちろんチャンピオンズ・リーグ決勝です。バルサ番として、ユベントスとの決勝をどう見ています?
 
ルイス・フェルナンド・ロホ:バルサ側だから言うわけではないが、バルサが優位だ。バルサは優勝する。そう言い切ってもいい。
 
豊福:バルセロナの街にも楽観論が漂っていますよね。優勝を祝う花火なんかをすでに準備している人もいるくらいで。
 
ロホ:たしかに決勝は一発勝負だ。なにが起こるか分からない。前半の早い段階で負傷者が出たり、あるいは退場者が出たりする可能性だってある。それでも、だ。バルサが優勝する確率のほうが絶対的に高い。私はそう見ている。
 
豊福:実際、欧州のブックメーカーのオッズを見ても、バルサ勝利の予想が圧倒的です。イタリア国内ですらそうです。バルサ優勝の根拠はどこにあるのでしょう?
 
ロホ:もちろんトリデンテの勢いだ。現在のバルサはこの3人にかかっている。なにしろ、120ゴールだよ。今シーズン、3人合わせて120ゴールを奪ったんだ。
 
 メッシ、スアレス、ネイマールのうち、仮に誰かひとりを抑えられたとしよう。それでも、ふたりがいるわけだ。メッシが輝かずともネイマールが決めた試合がどれだけあったか。ネイマールが消された試合ではスアレスが決めた。3人とも抑えることは、ほぼ不可能だ。
 
豊福:ユーベは、この脅威の攻撃陣への対応が鍵になります。どうアプローチするかですね。前から真っ向勝負にいくのか、ある程度引いてトリデンテを警戒し、我慢しながらカウンターで一発を狙うのか。
 
ロホ:ひとつの参考になるのが、国王杯決勝のアスレティック・ビルバオ戦だ。あの試合、アスレティックのバルベルデ監督はある対策を用意した。
 
豊福:開始時にすぐ分かりました。メッシにマンマークを付けたんですよね。バレンシアガが、どこまでもメッシについていった。
 
ロホ:バルベルデは賢い監督だ。いろいろと策を練り、マンマークを選び抜いたはずだ。実際、試合の途中までは効いていたんだよ、あの80年代を思わせるようなマンマークが。
 
豊福:メッシは消されていましたし、激しいファウルに珍しく主審に抗議もしていた。アスレティックはいけるかなと思ったんですが……。
 
ロホ:そしてあの瞬間が訪れた。まさに一瞬だった。右サイドで4、5人かわしたメッシが、ひとりで決めてしまった。つまり結論はこうだ。メッシをマンマークしても意味がない。
 
豊福:そのメッシのスーパーゴールを受けて、アッレグリ(ユベントス監督)も同じことを言っていました。あれを見せられると、このバルサを相手に、マンマークや超守備的布陣で挑むのは間違っていると思えてきます。
 
 引くことで自分たちの攻撃の回数を制限してしまうマイナスのほうが大きい。ユーベにとっては、失点しても仕方がないくらいの勢いで、前から高いインテンシティでぶつかって行くほうが賢明なんじゃないかな。
 
ロホ:どれだけ引いて守りを固めても、メッシを90分間止めることはできない。あのゴールの後、キエッリーニが「イタリアならあんなゴールは決められない」と言っていた。
 
 たしかにイタリアのほうが守備文化は発達しているから、いくらメッシでも5人抜きは無理かもしれない。しかし、だからといってこのメッシを抑えられるのか。抑えられないと、私は思う。

次ページ「シャビとピルロの最後のマエストロ対決」も大きな見どころ。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事