なぜU-24日本代表は優勝候補スペインと渡り合えたのか。わずか4日間で生じた“変化”とは――

2021年07月18日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

前半のシュート数は日本が上回る

堂安のシュートで42分に奪った先制点は“狙い通り”だったようだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 東京オリンピックの初戦を5日後に控えたU-24日本代表は7月17日、U-24スペイン代表と対戦し、1-1のドローで大会前最後の強化試合を終えた。

 GKウナイ・シモン、DFエリク・ガルシア、DFパウ・トーレス、MFペドリ、FWダニ・オルモ、FWミケル・オジャルサバルというEURO2020でベスト4進出に貢献した6人に加え、マルコ・アセンシオ、ダニ・セバジョス、ミケル・メリーノらのタレントを招集したスペインは、金メダル候補の筆頭だ。

 とはいえ、オーバーエイジの合流で格段に戦力がアップし、金メダルを現実的な目標に掲げる日本は、このクラスの相手を本番で打ち破らなければならない。優勝候補を相手にどこまで通用するのか、その試金石ともなるこの一戦には、小さくない注目が集まった。

 試合は予想通り、立ち上がりからボールを支配され、押し込まれる展開となる。精度の高い縦パスを通され、そこからピンチになりかけたシーンはあったが、右SBの酒井宏樹が水際で防げば、吉田麻也と冨安健洋の両CBも最後の局面では敵に自由を与えず、左SBで先発した攻撃力が売りの旗手怜央も守備で奮闘を見せる。

 中盤では、田中碧に代わって遠藤航とダブルボランチを組んだ板倉滉がプレスの急先鋒となり、テクニカルなスペインにガツガツとプレッシャーを掛け、押し上げを食い止めた。ポゼッションでは圧倒されていたが、守備ブロックは機能しており、ピンチがそれほど多かったわけではなかったのだ。

【動画】久保の果敢な突破から堂安が左足一閃!日本の鮮やかな先制点
 
 すると、敵将ルイス・デ・ラ・フエンテが「日本とはコンディションに差があった」と認めたように、徐々にスペインのペースが落ちる。日本はこの隙を見逃さなかった。30分過ぎから、カウンターでチャンスを作り出すと、「どこかで自分がこじ開けられないかと思っていた」という久保建英が42分に左サイドを突破し、中央へグラウンダーのパスを供給。これを受けた堂安律が得意の左足で鮮やかなシュートを叩き込み、先制点を挙げるのだ。

 攻め込まれながらも前半のシュート数は5対4で日本が上回った。狙い通りの展開に持ち込んだ森保一監督は試合後、次のように語っている。

 【五輪代表PHOTO】U-24日本1-1U-24スペイン|五輪前最後の試合はスペインを相手にドロー決着!
 

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