監督不在の鳥栖、ACL帰りの名古屋、プロ分析官が注目の一戦を徹底展望! 上位戦線に踏みとどまるのはどちらか?

2021年07月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

両チーム東京五輪代表で攻撃のカードを1枚欠く

杉崎氏が予想した「サガン鳥栖対名古屋グランパス」のフォーメーション。

 消化試合にバラつきがあるものの、失点数がリーグ最少の6位・サガン鳥栖が、ホームに同2番目に少ない、4位の名古屋グランパスを迎える一戦。

『サッカーダイジェストWeb』では、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2019年には横浜でチームや対戦相手を分析するアナリストとして、リーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に、変則的に開催される20節・鳥栖対名古屋の勝負のポイントを伺った。

 確かな分析眼を持つプロアナリストは、目指すべきスタイルが確立されている両チームの対戦をどう見るのか。予想布陣の解説とともに、試合展開を4つの状況に分け、それぞれの見どころを語ってもらった。

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●サガン鳥栖
今季成績(22節終了時※20試合消化):6位 勝点34 9勝7分4敗 24得点・11失点

●名古屋グランパス
今季成績(22節終了時※20試合消化):4位 勝点37 11勝4分5敗 22得点・13失点

【予想布陣解説】
 鳥栖は金明輝監督がこの名古屋戦から3試合の指揮資格停止、さらに当分の間、練習参加も停止しています。しかし、昨季から築き上げてきた戦い方に変更はなく、メンバー変更もあまりないと予想します。間に天皇杯のアビスパ福岡戦を挟んでいますが、7月3日のサンフレッチェ広島戦とほぼ同じ布陣です。

 システムは3バックで、両ワイドにウイングバックを置いて、アンカーがひとり。インサイドハーフ、フォワードが2人ずつの形です。ただ、後述しますが、これは守備だけの話。便宜上5-3-2という形にしています。

 広島戦からの変更点は東京五輪代表に選ばれて不在の林大地選手のところには本田風智選手を入れました。4月の前回対戦でゴールを奪っている酒井宣福選手もあり得るとは思いますが、山下敬大選手と若干タイプが重なる。金監督は違うタイプの2トップを組ませることが多いので、16節の札幌戦でも試した本田、山下ペアを予想しました。

 そのほかでは、怪我人の復帰もポイント。右のCBにはファン・ソッコ選手がずっと出ていましたが、5月30日の試合で負傷したとクラブが発表しています。発表されている治療期間は終えていますが、天皇杯でもベンチ入りしていないので不明です。

 また、左のCBに中野伸哉選手、左のウイングバックに小屋松知哉選手という可能性もありそうです。ただ、対峙する名古屋の右サイドにマテウス選手を予想するので、守備力やバランスを考えて大畑歩夢選手と中野嘉大選手を予想しています。
 
 一方の名古屋は、7月7日にACLを終え、14日には天皇杯でファジアーノ岡山と戦いましたが、雷雨の影響で前半終了時点で試合が中止に。バブル内での生活でストレスなどもあるでしょうが、天皇杯での先発メンバーを見る限り、体力面での影響は少ないと判断しました。しかし、もともと中2日で戦う日程でしたので、ある程度のローテーションは想定済みのはず。天皇杯の中断で元々の予定に変化があるかどうかは分かりません。

 リーグ戦では基本布陣の4-2-3-1がベースでしたが、ACLを含めてトップ下を置かない4-3-3も使う機会も出てきています。システムはそのどちらかですが、ここでは前者としました。

 予想では天皇杯から4人を変更し、右サイドバックに宮原和也選手、ボランチに米本拓司選手、前線は右からマテウス選手、柿谷曜一朗選手、齋藤学選手、ワントップに山﨑凌吾選手の並びに。こちらも左サイドの相馬勇紀選手が五輪で不在のなか、前田直輝選手、阿部浩之選手、ガブリエル・シャビエル選手と前線は多くの選択肢があります。

 この試合の見どころは"サイドバック"を巡る攻防を挙げます。

 現場的な話では、サイドバックというのは4バックでの両ワイドを指します。名古屋だと宮原選手、吉田豊選手です。ただ、鳥栖のようなシステムで中野嘉大選手、飯野七聖選手は基本的にウイングバックという言い方をします。ですが、鳥栖が攻撃する際には4バックに可変します。その際のサイドバックの役割は誰が担うのか。さらに相手のサイドバックに対する攻防が見どころになってくると思います。
 

次ページ鳥栖の自陣からの攻撃vs名古屋の敵陣での守備

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