10年ぶりの全国に挑む帝京!日比監督も期待を掛ける大型レフティがカナリア軍団復活のキーマンに

2021年07月05日 安藤隆人

2年生主体のチームで注目を集める左利きの大型サイドバック

帝京の左サイドバックを務める入江。攻守両面での働きが期待されるレフティだ。写真:安藤隆人

 インターハイ予選で10年ぶりの全国大会出場を手にした帝京が、その勢いそのままにプリンスリーグ関東でも上位を相手に躍動を見せた。7月3日に行なわれたプリンス関東8節、ホームに桐生一を迎えると、19分に先制点を許すが、前半のうちに同点に追いつき、後半に逆転弾を挙げて2-1の勝利を掴み取った。

 2年生主体のチームである今年の帝京。その中でも注目を集めるのが、昨年U-16日本代表にも選出された左サイドバック・入江羚介だ。希少価値の高い左利きの左SBで、181cmと高さも魅力だ。ただし、FC東京U-15むさし時代までは高さを売りにしておらず、足もとの技術を磨き上げて、多彩なアプローチでビルドアップに関わるプレーを意識的に学んだ。そして、高校に入ってから急激に伸びたことで、そこに高さが加わった。

 豊富な運動量と高性能な左足を生かしながら、左サイドで躍動をする彼は、この試合でも重要な働きを見せた。

「相手は縦に速いサッカーをしてくるからこそ、全体のアップダウンが激しくなると体力的にキツくなる。そこで僕が左サイドでどれだけボールを収めて、攻撃のテンポを作り出せるかがポイントだと日比威監督(91年度全国高校選手権の優勝メンバー)も言ってくれたので、なるべくボールを呼び込んでゲームメイクすることを意識した」
 
 こう語るように、全体のボールの動きを見ながら、彼は左サイドに張り出したり、ボランチのポジションまで中に絞ったりと、高い位置でかつフリーでボールを受けられるポジションを常に模索。ボールを受けたらキープしたり、横パスをちらつかせながら、テンポダウンを図りつつ、機を見た縦パスやスルーパスで桐生一の守備ブロックに亀裂を入れていった。

 そして、1-1で迎えた65分、右サイドをMF福地亮介がドリブルで突破をすると、ペナルティエリア内で10番を背負うトップ下の伊藤聡太に繋ぐ。「こぼれてくると思って入り込んだ」と入江はその流れを見て、一気にペナルティエリア内左に潜り込むと、伊藤のシュートを桐生一GK竹田大希が弾いたこぼれ球が飛んできた。

 冷静に胸で得意の左足で蹴れる場所にボールを落とすと、「カバーに入っていたDFがこっちに向かってきていたし、GKも戻りながら反応をしていたので、下に打ったら弾かれると思った」と、迷わずニア上を目掛けて左足を振り抜いた。ボールは狙い通りゴール上に突き刺さり、帝京に勝点3をもたらす決勝弾を叩き出した。
 

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