普通は1から。でも相模原では「3ぐらいからスタートすることも」。高木監督が語るチームのポテンシャル

2021年07月03日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「選手の持ち味がだんだんと、少し出てきたかな」

チームの確かな進歩を実感している高木監督。ホーム北九州戦で待望のリーグ初勝利を掴めるか。(C)SOCCER DIGEST

 SC相模原の指揮官に途中就任して、1か月ほどが経過した。その間、チームはリーグ戦で4試合、天皇杯で1試合を消化。ギラヴァンツ北九州との天皇杯2回戦は1-0で勝利も、リーグ戦では1分3敗。数字だけを見れば納得はできないはずだ。

 高木琢也監督にとって、シーズン途中からチームを指揮するのはほぼ初めてのこと。「春先からチームを作っていれば、だいたいこういうことをしておけば、というのが分かってきますけど、そういう感覚をなかなか得られなかったところは正直あります」と明かす。

 J2の最下位に沈むチームをいかに立て直すか。決して簡単な作業ではないが、高木監督は「シーズンの最後にどうなっているかが大事」と動じない。

 就任から4日後に迎えたV・ファーレン長崎との初陣は0-1。十分な準備期間を得られなかったが、「比較的やれたなというのはありました」と少なからず手応えを得たという。

 その後の水戸ホーリーホック戦、東京ヴェルディ戦はいずれも0-2。思うように成果を出せなかった時期を次のように振り返る。

「勝負というところでは、ちょっとした隙やミスが絡んでくる。それはそんなにすぐに修正できるものではありません。習慣性なので」

 勝敗に影響する習慣性の改善に努めていくなかで、「選手の持ち味がだんだんと、少し出てきたかな」という実感もある。

「それが端的に出てしまうと、チームとしての表現としてはあまり良くないですけど、2人なのか3人なのか4人なのか、グループとしての絡みはだいぶ出てきたと思います。その意味で、チームとしての形が表現されるようになってきた」

 まだリーグ戦で"初勝利"は掴めていない。なによりも結果が大事ではあるが、その戦いぶりを見れば、ボールポゼッションや、連動した崩しと守備など、チームとして意図するプレーができている印象だ。一つひとつの局面で何をやるべきかが整理され、迷いなく戦えている。

「選手たちはよくやってくれていると思います」

 誰よりもチームの可能性を信じて疑わない。

「たとえば、やるべきことで5段階あれば1からスタートさせますけど、このチームは3ぐらいからスタートすることもあり、それでもこれくらいできるんだなと。それは大きい」
 
 選手たちの持てる能力を認め、それを上手く引き出し、輪郭を整え、ひとつの形にしていく。豊富な実績に裏打ちされた指導は実を結びつつある。直近のブラウブリッツ秋田戦は先制されながらも同点弾を奪い、粘り強くドローに持ち込んだ。リーグ戦では現体制下での初ゴール、初勝点。チームは着実に前進している。

「ベテランがいる、若手がいる、変わりつつある選手もいる。面白いチームだと思います」

 次節はホームでの北九州戦。天皇杯で勝利しているだけに良いイメージもあるはず。待望の勝点3を得られれば、チームの成長速度はまたグッと上がっていくはずだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)

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