【三浦泰年の情熱地泰】元巨人・槙原寛己さんが思わず漏らしたSNS動画への一言。指導者にとってまさに「新時代」が到来?

2021年07月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

多くのプロの試合を日常的に見られるようになった!

いまや子供たちは日常的に世界のサッカーに触れられるようになった。動画アプリでも様々な形でレクチャーを受けられる機会が増えている(写真はイメージ)。(C) Getty Images

 週に2回、近くの公園にある小サッカー場で小学生4年生(10歳)~6年生(12歳)の少年たちにサッカーの指導をしている。2004年に世田谷区で立ち上げ、18年目を迎えたサッカークラブ「FCトッカーノ」の少年たちにだ。

 先日、息子さんがクラブの2期生である槙原寛己さん(元巨人軍)が、公園でジョギング&ウォーキング(散歩)をするために偶然にも現われ、声を掛けてくれた。

「やっさん、いるかなーって……トッカーノかな?と思って」と。

 年々、少年たちも上手い子が増え、強くなって来ている、などと短い会話の中で近況を話したが、野球も同様に少年のレベルが上がっていると槙原さんもおっしゃっていた。

 槙原さんが冗談で言っていたが、変化球の握り方をYouTubeで無料で教えている映像に、「俺も若い時、見たかったよ」と言っていた……。

 もちろん槙原さんは野球界を引っ張って来た功労者であり、今の野球界の発展に影響を与え続けてきた人のひとりだ。そして今の代表的な選手が大谷翔平(エンゼルス)なのだろう。

 サッカー界も同じ状況だ。YouTubeやInstagramといったSNSの影響は当然大きい。

 一方でサッカー界にもたくさんの功労者がいる。そして、僕のようなJリーグや海外を経験した指導者やコーチも増えた。

 しかしそれ以上に子供にとって凄い時代になったのは、海外の凄いレベルのサッカーが日常的に見られるようになったことだ。

 今であればユーロ2020にブラジルで行なわれている南米選手権。少し前であればチャンピオンズ・リーグ。もちろんプレミアからリーガ、ブンデス、セリエAなどなど。有料チャンネルではあるが、いつでもハイレベルなサッカーを見られる時代になったのだ。

 2002年の日韓共催で行なわれたワールドカップの頃に生まれた子たちに、サッカーをやらせた親御さんがたくさんいたとしたら、その子たちが世界のサッカーを知る機会は明らかに変わったであろう。

 衛星チャンネルからネットテレビ。見れない国の映像はない、に近い時代に突入。しかしそれは僕がクラブを立ち上げた時代から、すでに変わって来ていたのが事実だ。

 今はさらに状況が変わった。SNSによる無料アプリなどで発信されているサッカー動画もある。新時代なのであろう。
 
 見せ方も様々であり、若者や子供向けに珍プレー、好プレーを編集した動画集もあれば、トレーニング風景からトレーニングメニューの紹介など、何でも見れるようになっている。

 興味のない人までが気になる見せ方。学びたいものは何でも簡単に手に入る(見れる)。ライセンスを持つ人、プロだけでなく、色んな幅広い人が発信できる。

 モウリーニョやグアルディオラがどんな指導をし、何を言っているかまで知ることができる。

 15歳でブラジルに旅立ったカズが、日本に送って来てくれたサントスのビデオ。字幕スーパーなど入る訳でもなく、もちろん音楽入りでもない。サッカーが上手いブラジル人選手たちの紅白戦(ゲーム)に驚き、よく見ていると何かが違う。ツータッチゲームなのである。

 誰ひとりミスすることがない。トラップがズレて、スリータッチになる選手などはまずいない。当時の日本は、ツータッチという制限だけで精度の落ちる時代で、ブラジルの映像にびっくりしたものだ。

 今では解説つきで細かい戦術から技術までレクチャーする動画もある。僕の教える10歳の子供はツータッチでのパス回しどころか、「ツーワン」というツータッチで回されてきた次はワンタッチしか出来ない、というプロでさえ簡単ではない規制もスムーズにプレーできる。

 凄い時代になったものだ。
 

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