「スペインに勝ってほしい。だが、モドリッチには負けてほしくない」マドリーのレジェンドがそう語る理由【現地発】

2021年06月28日 エル・パイス紙

真のフットボーラーに必要な要素とは?

35歳となったいまも絶大な存在感を発揮しているモドリッチ。(C)Getty Images

 わたしはいま、ハムレットのような心境にある。

 真のフットボーラーに必要な要素とは何か――。それはフットボールを知り、フットボールを感じ、責任を持ってプレーすることだ。オリジナリティを発揮し、ピッチ上にありったけの汗を流すことだ。

 つまりルカ・モドリッチのような選手を目指せばいい。

 フットボールを知るとは、すなわち常に的確なポジションを取り、ほぼすべてのプレーにおいて的確な判断を下し、時々相手の意表を突く選択をすることだ。

 フットボールを感じるとは、すなわちフットボーラーという仕事に愛情を持つことだ。そして責任を持ってプレーするとは、すなわちユニホームを身に纏っている間は常にファンの思いという何ものにも代えがたい宝を背負っていることを理解することだ。

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 フットボールにおいてオリジナリティを発揮するとは、すなわち何か抜きん出たものを身に付けることだ。例えば、そのためには普段何も意識せずに歩いているのと同じように、自然にアウトサイドキックでパスを繰り出すことができるレベルまでスキルを高めなければならない。

 そしてピッチ上にありったけの汗を流すとは、すなわち全身全霊でフットボールと向き合い、ユニホームに忠誠を誓い、真摯にひたむきにプレーすることだ。

 だからこそわたしはハムレットのような心境にあるのだ。今夜、スペインに勝ってほしい。しかし同時に、モドリッチに負けてほしくないのだ。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳:下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。
 

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