【J1前半戦ベスト11 Vol.5】1つ上のレベルにあった川崎勢以外では、横浜の神速アタッカーらを選出

2021年06月25日 河治良幸

軸になる中盤のクオリティは特筆に値する

河治氏が選出したJ1前半戦のベストイレブン。MVPには川崎のL・ダミアンをセレクト。

 J1リーグはおおよそシーズンの約半数の試合を消化。6月23日時点で川崎フロンターレが21試合消化と最も多く、新型コロナウイルスの影響で出遅れたガンバ大阪も15試合を戦っている。そこで本稿では、J1リーグ前半戦を振り返り、ベストイレブンを識者に選出していただいた。河治良幸氏が選んだ11人とは――。

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 総論から言えば、川崎フロンターレで11人が埋まってもおかしくないぐらい、やはり攻守両面のスタンダードという部分で1つ上のレベルにあったことは間違いない。

 チームとして相乗効果を出しているなかで、前線なら、こうした企画の常連である家長昭博や三笘薫、後ろであれば左サイドバックで覚醒した旗手怜央や対人守備で絶対的な強さを見せるジェジエウが入っていても全くおかしくないが、チームのパフォーマンスを考えながら個人の存在感を加味した時に、このイレブンになった。

 堅守を誇る名古屋グランパスで、長期離脱の丸山祐市の分も働いている中谷進之介、堅守からのサイドアタックで違いを生み出しながら、ゴールというところでもスペシャルなものを出しているマテウス、横浜F・マリノスで攻撃的なチームの背後を幅広く防衛しているチアゴ・マルチンス、爆発的なスピードを攻撃と守備の両面で発揮し、得点力という部分でも上のステージに昇った前田大然、そしてヴィッセル神戸で前線から獅子奮迅の働きを見せ、得点ランキングのトップに立つ13ゴールをマークしている古橋亨梧だ。
 
 川崎の話に戻すと、チームとしてのパフォーマンスが高いなかで、やはり軸になる中盤のクオリティは特筆に値する。田中碧に関しては、視野の広さや判断スピード、そして相手が対応してきた時に無理に攻めず、確実にキープして次の展開につなげるなど、キャンセル力の高さが目を引いた。

 そして中盤で組む味方が変わっても安定してリーダーシップを発揮できるところは、昨年より確実に上がっている。ここから海外にチャレンジということで寂しさはあるものの、Jリーグや川崎で身につけたものプラス、海外で向上心を持ち続けてステップアップしていくことを期待したい。
 

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