全試合無失点!激戦区千葉を制した流経大柏、圧巻の強さの陰に主将が取り入れた意見を出し合える環境づくり

2021年06月21日 安藤隆人

キャプテン渋谷は本職のボランチだけでなく2トップやCBでもプレー

4年ぶり15回目の千葉県予選優勝を決めた流経大柏。全試合無失点と強さを見せた。写真:安藤隆人

 インターハイ千葉県予選決勝は、流経大柏が4年ぶり15回目の優勝を手にした。決勝トーナメント初戦から登場し、4試合連続クリーンシートに加え、暁星国際との決勝戦では6-0の圧勝劇。この強さの中心にいるのが、キャプテンの渋谷諒太だ。

 1、2年と学年キャプテンをやっていた渋谷は、今年のキャプテン決めに立候補をして就任。渋谷が取り入れたのは、全員でコミュニケーションをとりながらチームを構築していくスタイルだった。

「榎本(雅大)監督が『プレーヤーズファーストのチームを作る』とずっと言ってくれて、そのためには選手たちがきちんと意見を出し合いながら、チームを構築していかないといけないと僕らの意思を尊重してくれている。だからこそ、僕が中心となってもっとみんなで意見が出し合える環境を作りたい」

 厳しく厳格なキャプテンと言うよりは、人の話を聞く能力に長け、チームを俯瞰で見ることができる彼にとって、自分の長所を発揮できる環境でもあった。最初は戸惑いながらも、「今年はCB田口(空我)やFW川畑(優翔)、MF松本(洋汰)など、各ポジションに発信力がある選手が増えているので、彼らの力を借りながら話し合いを重ねた」ことで、徐々にピッチ上のコミュニケーションも活発になっていった。

 チームリーダーとして存在感を放つ一方で、ピッチ上で渋谷はチームの穴を埋める重要なピースとなっていく。プレミアリーグEASTでは本職のボランチだけでなく、「今までやったことがなかった」と語る2トップの一角やCBとしてもプレー。「替えが効かない選手になっている」と榎本監督も絶大の信頼を寄せている。
 
 暁星国際との決勝戦でも渋谷は全体を見渡せるキャプテンとしての力を発揮した。この日の試合会場には強烈な風が吹いており、最初は風下のコートだったが、試合前のコイントスに勝利をすると、主審にコートチェンジを要求。風上に立って、前半のうちに勝負を決める判断を下した。

 さらに試合が始まると、渋谷はスタートこそ4-4-2のダブルボランチとしてプレーしたが、「相手が2トップを残して下がっていたし、今日の両サイドハーフ(右・小林恭太、左・高足龍)は突破力のある2人だったので、彼らを生かすには中盤は1枚の方がいいと思った」と、ボランチコンビを組む松本をトップ下に持っていくべきと判断。CBの田口にも意図を伝え、CB萩原聖也と共に3人でのビルドアップを確認し、松本を攻撃に専念させた。

【インターハイ予選 千葉決勝】流経大柏6-0暁星国際|流経大柏が暁星国際に6-0の大勝!3大会ぶりの全国大会出場を決める

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