「日本は戦術が洗練されている」五輪代表をスペイン人アナリストはどう見た? 「久保を活かすには…」

2021年06月20日 アドリアン・ブランコ

ボールを受ける位置が相手ゴールから離れると、威力が低下する

6月シリーズでは唯一3試合連続で先発した久保。(C)Getty Images

 タケ・クボ(久保建英)はU-24日本代表における攻撃の大黒柱だ。本稿を執筆するにあたり、日本代表戦、U-24ガーナ代表戦、そしてジャマイカ代表戦の3試合をチェックしたが、いずれにおいてもタケは4-2-3-1のトップ下でプレーした。

 3試合を通じてまず感じたのは、U-24日本代表のチームとしての洗練された戦術だ。攻撃では両CBによるドリブルを駆使したビルドアップと、ダブルボランチによる異なる高さのポジション取りを組み合わせてパスコースを確保しながら相手のプレスを散らし、守備でもネガティブ・トランジション(守→攻の切り替え)時に4-4-2にシフトして中央のゾーンを厚くし、サイドから攻撃するように仕向ける。

 そしてそのサイドの守備は、ウイングとサイドバックが密にコミュニケーションを取ってマークを受け渡しすることで対応する。これらはいずれも、近年のヨーロッパの強豪クラブで取り入れられている戦術的要素だ。

 そのなかでタケは攻撃の中心選手としての役割を任され、ボールのラインよりも前でポジションを取りながら崩し、仕掛け、フィニッシュの局面で違いを作り出す存在となっていた。

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 タケのチームにおける活かし方を考察する際に、重要なのがそのアタッカーとしての際立った特徴だ。これはラ・リーガでも顕著に見られることだが、彼は足下にパスをもらう傾向が強い。逆に言えば、スペースに走り込んでパスを呼び込むプレーを見せる機会は少なく、あってもゴールに近いエリアにほぼ限定される。

 トップ下、ウイングと起用されるポジションを問わず、2ライン(DFとMF)間でボールを受ける技術には長けている。ただ楔のパスを受けて、攻撃の基準点となるいわゆるポストプレーヤーではない。

 またドリブラーとしては長い距離をトップスピードで駆け上がるよりも、一瞬のキレで勝負するタイプのため、ボールを受ける位置が相手ゴールから離れれば離れるほど、その威力も自ずと低下してしまう。
 

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