「本当に頭が痛くて」「家に帰ってため息が…」高倉監督は早くもメンバー選考の苦悩を吐露

2021年06月13日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「彼女たちの人生が懸かっている」

メンバー選考について語った高倉監督。果たしてどんな18名を選ぶのか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 なでしこジャパンこと日本女子代表は6月13日、カンセキスタジアムとちぎで行なわれたメキシコ女子代表との一戦で5-1の勝利を収めた。

 東京五輪メンバー発表前最後となったこの一戦では、岩渕真奈をはじめ、田中美南、籾木結花、木下桃香、遠藤純がゴールを決めてアピール。3日前に行なわれたウクライナ戦(8-0)と合わせれば計13得点。塩越柚歩、宝田沙織、杉田妃和の3人も目に見える結果を残している。

 もちろん得点以外での貢献が光った選手も多い。ウクライナ戦では左SBでは北村菜々美が躍動感溢れるアップダウンを繰り返し、菅澤優衣香もパワフルなポストプレーを披露。メキシコ戦では、高橋はながポリバレント性を見せた。

 ここから高倉麻子監督には、18名を絞り込む作業が待っている。

「みんなが結果を出すので、本当に頭が痛くて。もちろん今日の試合も良いファイトをしてくれて、それでも課題もありますし。まず家に帰ってため息が出てしまいました(笑)」

 そう冗談交じりに苦悩を語る指揮官だが、メンバーを選ぶ作業に対して妥協をする様子はまったくない。重大な責任があると自覚しているからだ。
 
「みんな良い結果を出してくれているので、本当に彼女たちの人生が懸かっていることは自分自身受け止めています。そのことも受け止めながら自分自身はベストと信じた選手を選んでいきたいと思います。

 また18人を選びますけど、これまで合宿に呼んだ選手を含めて、女子サッカーを支えているという意味では、私の選手に対する想いは変わらないので。本当にそういう選手たちの想いも背負って戦えるように選考したいと思います」

 これまで育成年代を指揮してきた高倉監督だけあって、少しでも光るものを感じた選手がいれば、手元に呼び、直接指導をして成長を促した。なでしこジャパンの門戸を広げたこの成果は、若手の台頭にもつながっている。

 メキシコ戦で後半に活躍した遠藤は21歳、木下に至っては18歳である。ここに来ての若手の急成長もまた、良い意味で指揮官を悩ませる材料となっている。

「遠藤も木下もそうですけど、若くて能力の高い選手はここに呼んでいない選手も本当にたくさんいるのが日本サッカーの現状だと思います。もちろんグラウンドに立てば年齢は関係ないので、しっかり自分の結果を残し、責任を果たす意味では、強い想いを持って臨んでくれたと思うので、そのへんは頼もしく感じました。

 日本の未来を背負っていくという気持ちを持って、サッカーに取り組んでほしいというのは、一番近い東京五輪に対してもそうですし、その先に対しても、これに満足することはなく、また1日1日成長してほしいなと思いながら。良いアドバイスを私自身も彼女たちにしながら、彼女たちのレベルアップとチームのレベルアップを図っていきたいなと思います」

 東京五輪はなでしこジャパンの未来につながっていく重要な大会であるのは言うまでもない。その大会の指揮を託された高倉監督は、果たしてどんな18人を選ぶのか。メンバー発表の日を楽しみに待ちたい。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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