谷口彰悟の序列が一気に上昇か? 国内組の底上げは収穫も、最終予選へ不安材料も残した森保ジャパン

2021年06月12日 元川悦子

後半頭から投入されたオナイウ、川辺が試合を動かすスパイスに

セルビア戦の日本代表スターティングメンバー。写真提供:JFA

 2018年9月の森保一監督就任後、初の欧州勢との対戦となった11日のセルビア戦(神戸)。「自分がやってきたことが試される場。体格差の部分でもレベルの高い試合になる」と守田英正(サンタ・クララ)も言うように、国際経験の少ない面々がどこまで戦えるのか、チームの現在地はどのレベルにあるのかを測る重要なチャンスだった。

 指揮官も3日のU-24日本代表戦(札幌)から2人を入れ替え、古橋亨梧(神戸)を1トップに抜擢。2列目を右から伊東純也(ヘンク)、鎌田大地(フランクフルト)、南野拓実(サウサンプトン)という通常の並びに戻して挑んだ。

 アレクサンダル・ミトロビッチ(フラム)やルカ・ヨビッチ(フランクフルト)ら主力を欠くセルビアは5バックを採用。非常に守備的なスタイルで試合に入ってきた。日本は最終ラインでボールを回し、支配率を高めたが、肝心のタテパスが入らず、攻撃の形を見出せない。鎌田が「少しリスクを下げすぎて、後ろとか横にパスしすぎた」と反省の弁を口にしたように、消極性が目につく。守田・橋本拳人(ロストフ)の両ボランチがリズムを作れず、中盤の数的優位を十分に生かせなかったこともあるが、いい距離感で空いたスペースを有効活用しながらリズミカルな戦いという理想とは程遠い展開。シュート2本というのは、さすがにいただけなかった。

 そこで、森保監督は後半頭から川辺駿(広島)とオナイウ阿道(横浜)を投入。彼らが非常にいいスパイスとなってゲームが動き出す。伊東の開始3分の決勝弾につながったCKは川辺が室屋成(ハノーファー)に素早く展開したところから得たもの。鎌田のクロスから、谷口彰悟(川崎)がニアで的確に落とし、ファーポスト付近で伊東がボレーで合わせた。
 
「相手がデカいんで、ニアでフリックして、ファーで俺と直通(植田=ニーム)が詰める形を狙っていた。それがうまくハマりました」と伊東もしてやったりの表情を浮かべたが、この一撃はチームに安堵感をもたらした。その後も川辺とオナイウはチームにうまく適応。相手の運動量や強度が下がったのも災いし、特に最前線のオナイウは巧みにボールを収めながら起点を作っていた。

「オナイウはすごく身体を張ってくれて、ポストプレーもしましたし、ああいう試合でポストプレーでタメを作ってくれるかどうかは後ろの選手にとってはすごく助かる」と長友も新戦力効果を実感。A代表初キャップとは思えない存在感を示すことに成功した。

 今回は大迫勇也(ブレーメン)が負傷離脱し、前々からの課題である「脱・大迫」の攻撃の形を模索することがひとつの重要なテーマだったが、オナイウはこれまでテストされた浅野拓磨、古橋よりも有効な駒になり得る可能性を示したと言っていい。
 

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