試合前に久保建英が見せた厳しい表情。“攻撃の核”になるという強い決意の表われ【厳選フォト】

2021年06月12日 徳原隆元

アグレッシブなプレーで突き進む。その中心となったのが久保

試合前のウォーミングアップで引き締まった表情を見せる久保。強い決意が伝わってきた。写真:徳原隆元

 カメラのファインダーを通して、薄暮の淡い西日を受けてウォーミングアップを行なう久保建英の表情には凄味が漂っていた。その引き締まった表情が目に留まりシャッターを切る。

 6月5日、ベスト電器スタジアム。この日、U-24日本代表はオリンピック本大会に向けた強化マッチでU-24ガーナ代表と戦った。

 U-24代表のここまでのチーム作りは、3月に行なわれたU-24アルゼンチン代表との2連戦を経て、守備面の陣容においては完成に近付きつつある印象を受ける。北九州スタジアムでの2戦目で活躍したボランチの田中碧がチーム内における存在感を急速に高め、さらにオーバーエイジ候補にも吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航とディフェンスで力を発揮する選手がリストアップされた。守備面では確実にレベルアップが望めるメンバーが揃ったと言える。

 対して攻撃陣はオーバーエイジ枠からの戦力補強はなく、前線を牽引するリーダーとなるべく選手をこれまで見つけられないでいた。こうして迎えた福岡での試合。U-24代表はガーナとの対戦を通して、ついに攻撃のリーダーを発見することになる。

 試合は開始からフィジカルコンタクトの応酬となり、激しい攻防が繰り広げられる展開で進んだ。U-24代表は局地戦でボールを奪い、奪い返されるタフな内容の中で、ガーナを相手に一歩も引くことなくファイトし続ける。吉田を中心とした最終ラインを形成する選手たちはもちろんのこと、中盤、前線の選手たちもボールを保持したガーナの選手に向かって果敢に対決を挑み、動きを封じていった。
 
 こうした気迫のこもった守備面のプレーは攻撃面にも伝播され、U-24代表はスピードに乗ったアグレッシブなプレーで相手ゴールの攻略へと突き進む。その中心となったのが久保だ。

 攻撃的MFの中央に配置された久保は、ときに右サイドハーフの堂安律とポジションを入れ替えながら攻撃を組み立てていった。華麗なステップでマーカーを翻弄し、チャンスと見ればドリブルで敵守備網を切り裂いた。さらに自分を追い越して前線へと飛び出していく選手がいれば、その動きに呼応しスルーパスを供給。攻撃陣をリードしていった。
 

次ページ瞬時にわずかなシュートコースを見つけ正確なキックを放つ

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事