【数字が語るEURO2020優勝候補の「切り札」イタリア代表編】新鋭バストーニとラスパドーリの登用がカギを握る?

2021年06月11日 手嶋真彦

“勝てる”選手はいったい誰だ?

予選は10戦全勝のイタリア。1968年大会以来、半世紀以上ぶりの制覇を果たすことはできるか。(C)Getty Images

「イタリア代表、27戦無敗のまま、EUROの初戦だって」
「予選は10戦全勝だったらしいよね」
「久々の戴冠もありえるかもしれないな」
 
 たしかに今回のEUROで優勝すれば、1968年大会以来、実に半世紀以上ぶりだ。

「それはそうですが、もしかすると楽観は禁物かもしれません……」

 聞こえてきたのは、数字の声だ(もちろんこれは想像上の話、つまりファンタジーです)。数字の話はこう続く。

「親善試合や弱小国との対戦を除いた、直近30試合の勝率を選手別に見てみますと……」
 
 え、何かを予想できるの?

「もしかするとCFとCBの思い切った登用が、大会中のどこかで必要になってくるかもしれません」
 
 いったいどういうことなのか。もう少し、数字の話を聞いてみるとするか――。
 


 EURO2020が1年遅れでいよいよ開幕する。それはそうと、なぜ「数字」が語っているのか、企画の趣旨をかいつまんで説明すると――。

・EURO2020の優勝候補は8か国(と言われている。とりあえずそこは疑わない)。
・ワールドカップやEUROの歴史を紐解くと、意外なヒーローや彗星のごとく出現したラッキーボーイも大会の行方を決定づける切り札となってきた。
・それならば大会をより楽しむために、優勝候補8か国の誰もが知っている切り札(ポルトガルならクリスチアーノ・ロナウド)を踏まえつつ、意外なヒーローやラッキーボーイの候補者たち、すなわち隠れた切り札にもなりえる選手を予想しておこう。
・予想は数字に重きを置く。
・具体的には個人勝率の比較を用いることにする。
・遠い過去まで遡りすぎると最近の実情から離れてしまいかねないので、各国とも直近30試合を分析対象とする。そのうえでEURO2020エントリーメンバー1人ひとりの①出場した試合の勝率、②出場しなかった試合の勝率(不在時勝率)を当該国内で比較する。
・原則的には個人勝率の高い選手、不在時勝率の低い選手の中から、隠れた切り札の候補者を探し出す。
・データの精度を高めるために、親善試合は分析対象の直近30試合からすべて除外する。
・同じ狙いでUEFA加盟国のFIFAランク下位15か国(いわゆる弱小国)との対戦も、分析対象からすべてカットする。
・実際に勝率を比較してみると、意外な発見がいくつもあった(イタリア代表メンバーの個人勝率一覧はこちら詳しい企画趣旨はこちら)。

 それでは数字の示唆(あくまで示唆です)をすくい取りながら、イタリア代表の切り札候補を探しにいこう。
 

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