【数字が語るEURO2020優勝候補の「切り札」 ポルトガル代表編】浮かび上がるのはC・ロナウド不要論?

2021年06月11日 手嶋真彦

ポルトガルの命運を大きく左右する選手は本当のところ誰なのか?

ポルトガルの大エース、クリスチアーノ・ロナウド。果たして連覇の鍵を握る絶対的存在なのか? (C) Getty Images

 6月11日に開幕するEURO2020。果たして優勝候補の命運を左右する選手は誰なのか? データから導き出した「切り札」とは――。

――◆――◆――

 クリスチアーノ・ロナウドはポルトガル代表に絶対不可欠なのだろうか?
「いやいや、それは愚問でしょ。クリロナのいないポルトガルなんて」
 聞こえてくるのはそんな声だ。まあ、そうだよね。そりゃ、そうだ。

 いや、違う。
 そうじゃない。と、数字が異議を申し立てている。え、本当に? 果たしてどんな異議があるというのか、少しだけ耳を傾けてみようか――。

  ◇  ◇ ◇

 EURO2020が1年遅れでいよいよ開幕する。優勝候補は8か国というのが、どうやらもっぱらの前評判らしい(そこは疑わず、先に進みます)。

 優勝候補がその8か国だとして、それでは各国の「切り札」はいったい誰なのか。本当にC・ロナウドなのか。
 ワールドカップやEUROの歴史を紐解けば、意外なヒーローや、彗星のごとく出現したラッキーボーイも大会の行方を決定づける切り札となってきた。ただし、そんな「隠れた切り札」を事前に探し出すのは難しい。それはそうだ。今回のEUROには600人以上の選手がエントリーされている。そこから切り札まで上り詰めるには、実力だけでなく、運も物を言うだろう。結局、予想は無難なところに落ち着く。ポルトガルはなんだかんだで、クリロナ次第でしょと。

 本当にそうなのか。ポルトガルの命運を大きく左右する選手は他にいて、人知れず牙を研いでいるのではないか――。
 そこで、考えた。どんな選手が、どのような状態でEUROを迎えるか、まるで知らなくても、手軽に切り札を探し出せる方法はないものか。こっち、こっちと手招きするのが、数字だったのだ。

 データを扱う会社に相談し、議論を重ね、仮説を立てた。巡り巡って、辿り着いた答はこうだった。複雑に考えすぎず、シンプルに勝率を比較するだけで、ある程度の予想ができるのではないか。
 C・ロナウドが出場した試合の勝率は、本当に高いのか。
 C・ロナウドが出場しなかった試合の勝率のほうが、実は高いのではないか。
 それだけだ。
 それだけなのに調べてみると、意外な数字がいくつも浮上した。

 ちなみにC・ロナウドのA代表歴は、なんと174試合。遠い過去まで遡りすぎると、今の実情から離れてしまいかねない。そこで分析対象は直近の30試合とした。

【PHOTO】ポルトガルの大エース、C・ロナウドの愛車コレクション

 親善試合は除外した。ポルトガルの分析対象はW杯の地域予選と本大会、EUROの予選と本大会、UEFAネーションズ・リーグ、FIFAコンフェデレーションズ・カップの直近30試合(2016年9月6日のスイス戦~)だ。

 数字の精度を高めるべく、さらに工夫を施した。
 UEFA加盟の、最新FIFAランクで下位を占めた15か国との対戦も、対象外とする必要ありと判断したからだ。優勝候補8か国にしてみれば、勝って当たり前の相手ばかりなのだから。ポルトガルの場合はFIFAランク96位のルクセンブルク戦×3試合、110位のアゼルバイジャン戦×1試合、113位のフェロー諸島戦×2試合、134位のリトアニア戦×4試合、158位のアンドラ戦×2試合をカットした。

 前置きが長くなった。
 EURO2016の王者で、大会連覇を目指すポルトガルの「切り札」を探しにいこう。
 

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