E・ガルシアはなぜバルサを離れ、なぜ戻ってきたのか。「本当は退団を望んでいなかった」【現地発】

2021年06月11日 エル・パイス紙

「カンテラの位置づけが今ほど高くはなかったのかも」

4年ぶりにバルサのユニホーム袖を通したE・ガルシア。(C)Getty Images

 エリク・ガルシアが4年ぶりにカンプ・ノウへの帰還を果たした。ラ・マシアを後にするカンテラーノの多くの選手が夢見ることだが、実際に実現できるのは少数の選ばれた者だけだ。

 E・ガルシアはプレベンハミン(U-7)からバルサに所属。4年間の間にマンチェスター・シティで心身ともに成長を遂げ、11日に開幕するEUROのスペイン代表のメンバーにも名を連ねている。

「復帰したいという希望が叶った。すべての情熱を注ぐ覚悟だ。バルサのトップチームでプレーすることが僕の夢だった。とても満足している。プレベンハミンから始まった道の終着点のようなものだ」

 入団記者会見の席で、20歳のDFはこう声を弾ませた。

 エリク・ガルシアがバルサを退団したのはカデーテA(U-16)からフベニールB(U-18)に昇格するタイミングだった2017年夏。クラブと契約延長の話し合いを行う中で、翌シーズンからフベニールの一員になるという言葉以上の信頼を得ることができなかったことが原因だった。

「指導者、選手を問わず、われわれにとってエリクはラ・マシアの顔だった。でもクラブは契約延長交渉の中でそのステータスに相応しい条件を提示しなかった。本当は退団を望んでいなかったんだ。エリクはバルサのことを根っから愛しているからね」

【動画】バルサが投稿した下部組織時代のE・ガルシアの貴重映像
 その舞台裏をそのシーズン、E・ガルシアを指導し、現在はU-21UAE代表の監督を務めるフランク・アルティガが明かすと、選手本人もこう説明する。「クラブにおけるカンテラの位置づけが今ほど高くはなかったのかもしれない」

 そしてそんな中、舞い込んだのがシティからのオファーだった。「とても魅力的なプロジェクトだった」とその熱意にも後押しされ、海を渡ることを決意する。当初はイングランドサッカーへの適応に苦しんだが、それも成長を妨げる要素とはならなかった。

 ジョゼップ・グアルディオラ監督が「信じられないほど素晴らしい選手だ。守備全体を統率する。洞察力と集中力に長け、精度の高いプレーを見せる」と称賛するインテリジェジェンスの高さを武器にめきめきと頭角を現し、2年目にはトップチームデビューを果たした。当然、グアルディオラは長くその成長を見守る考えだったが、しかしE・ガルシアは古巣復帰の道を選んだ。
 

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