「メッシはアグエロと同部屋に不満げだった…」16年前に始まった“友情”はカンプ・ノウで花を咲かすか【現地発】

2021年06月07日 エル・パイス紙

「おい、間抜け」とメッシがざっくばらんに

メッシとアグエロ(右)の親友コンビがバルサで実現する可能性は高そうだ。(C)Getty Images

 超一流のストライカーにしてカリスマ的な人気を誇るストリーマーであるセルヒオ・アグエロは、Twitchの生配信中に「この間にレオに電話しようか」というと、電話を手に持ち、そこから聞こえてきた声の主はその通り、リオネル・メッシだった。

 アグエロから「調子はどう?」と尋ねられたメッシは「いいよ。電話を待っていたんだ」と答えると、続けざまに「おい、間抜け、(Twitch上でも)有名人になっているそうじゃないか。俺のことをみんな聞いているのかい」と畳みかけた。

 内容は何の変哲もない会話だ。しかしだからこそ、メッシをここまでざっくばらんな姿にさせるアグエロの希少性の高さを浮き彫りにさせる。

 そのアグエロのバルセロナ入団が決まった。「素晴らしい補強だ。あれほどの選手をこの条件で獲得できたんだからね。クラブの経営状況を考えると余計にね」と、クラブ内から歓迎する声が上がっている。

「インセンティブに比重を置いた契約を受け入れてくれた。それだけ自分の能力に自信を持っているということだ」とフットボールディレクターのマテオ・アレマニが認めるように、今回のオペレーションが実現に至ったのは、アグエロが条件面で歩み寄りの姿勢を示したからに他ならない。

 もちろんすべてが金銭面だけではない。テクニカルスタッフの間からはその人間性を評価する声が聞こえる。「ナイスガイで、チームの一員であることを意識して行動できる。ロッカールームで問題を起こすような選手ではない。そのまったく逆だ」

【動画】バルサのユニホームを着てカンプ・ノウのピッチに立つアグエロ
 そして忘れてはならないのは、"メッシの引き止め材料"という役割だ。ジョアン・ラポルタ会長も入団発表の席で「クンを獲得したのはクンだからだ。それだけ並外れた選手だ。レオにはもちろん残ってもらいたい」と改めてラブコールを送れば、アグエロもこう続いた。

「子供のころからいつかバルサが注目してくれると思っていた。バルサは世界で最も重要なクラブだ。レオもいるしね」

 2014年夏、クラブが"9番"探しに奔走する中、メッシはアグエロの加入を希望していた。しかしマンチェスター・シティは交渉に応じず、その代わりに獲得したのがルイス・スアレスだった。その1年前に加入したネイマールがそうだったように当初は難色を示していたメッシだが、その後、3人が固い友情で結ばれたのは周知の通りだ。とはいえ、そんな2人でさえ、付き合いの長さという点ではアグエロには適わない。

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