大舞台を控え主役になるはずのU-24代表にハンデが大き過ぎて、早々と勝敗への興味は薄れてしまった。常連で固めたフル代表に対し、中１日でガーナ戦を控えるU-24代表は、バックアップの最終選考の色合いが濃過ぎた。

　オーバーエイジ（OA）の吉田麻也と酒井宏樹、それにフル代表でも不可欠な冨安健洋を加えれば、最終ラインを４枚と想定しても３人のレギュラーが埋まってしまう。さらに森保一監督は、OAにアンカーの遠藤航も組み込んで来たため、本来U-24の売りは安定した守備力になるはずだった。そもそも両チームを率いる指揮官のコンセプトが「良い守備から攻撃へ」なのだから、基盤を成すディフェンスラインからボランチの経験値が不足すれば、チームの完成度の違いが歴然とするのは当然だった。
 

　ボールの奪いどころが定まらず、ビルドアップが安定しなければ、なかなか攻撃に人数をかけられない。前線は数的不利な状況を象徴するように、久保建英もなかなか他に選択肢を見出せずドリブルが増えた。終盤に15分間ほどプレーをした遠藤航は、それまでベンチで見ながら「２ボランチのポジショニング」と「ピッチ上で、もう少し前から守備に行くスイッチを入れること」を修正課題だと感じていたそうだが、若い選手たちが慣れないポジションでテストされ、しかも明確なリーダー不在の状況は厳し過ぎた。ただしその遠藤がピッチに立つと瞬く間に状況は好転したから、少なくとも東京五輪を戦うチームが、別次元の質を見せてくれることは容易に想像ができた。

　基盤が安定していれば、さらに個の質が生み出す仕上げの精度の差も浮き彫りになる。特に難しい態勢から反転し、落ち着き払ってGK大迫敬介の手が届かないコースへと運んだ鎌田大地の２点目は格の違いを証明した。また初めて左サイドで起用された伊東純也も、縦への仕掛けを封印されながらも、小川諒也との巧みな連携で浅野拓磨のスピードを引き出す３点目に貢献した。２人とも欧州で積み重ねた経験値と自信が表われていた。