「なぜ2部の無名DFが日本へ」徳島の新助っ人カカの移籍は、ブラジル記者も驚きだった【現地発】

2021年05月30日 リカルド・セティオン

ヴィッセル神戸と横浜FCも興味を

ここまで公式戦7試合に出場し、1ゴールを挙げているカカ。(C)SOCCER DIGEST

 ブラジルの若者がまたひとり、Jリーグで新たな挑戦を始めた。J1に昇格して1年目の徳島ヴォルティスに加入した22歳のDFカカだ。

 本職はCBだが、ボランチでもプレー可能。身長は187センチで空中戦に強く、スピードがあり、鋭い読みにも定評がある。そのうえ、性格はかなりポジティブだ。

 彼はミナス・ジェライス州の小さなチームで成長し、2017年からクルゼイロのユースチームでプレー。14年にも一度クルゼイロのテストを受けているがこの時は合格せず、3年後にもう一度チャレンジして晴れてクルゼイロの選手となった。

 U-20のミナス・ジェライス州リーグで優勝した時には、ボランチとしてプレー。18年には、クルゼイロの一員としてコパ・ド・ブラジルのタイトルを手に入れているが、この時はまだサブのメンバーだった。

 19年にはレギュラーとして州リーグで優勝を経験したが、全国リーグでは守備が崩壊してセリエB(2部)に降格。20年シーズンは、4か月レギュラーを務めた後、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督によってベンチに追いやられている。

 彼が所属していたクルゼイロは、ブラジルでも名の知れた名門だ。しかし現在は、かなり難しい状況にある。ビッグクラブでもあるにもかかわらず、現在はセリエBにあり、そのため経済的にもかなり苦しい。

【動画】得意のヘッド炸裂! カカの日本初ゴールはこちら
 実は昨夏、アメリカのポートランド・ティンバースがカカを獲得しようと、クルゼイロに200万ドル(約2億2000万円)をオファーしてきた。しかしこの時、クラブは彼を手放さなかった。もちろん移籍金は欲しかったが、セリエAに戻らなくては根本的な経済問題は解決しない。主力を売るのは危険だと考えたのだ。

 しかし、その直後の10月に監督が交代し、スコラーリがやってくる。この名将はレギュラーに定着していたカカを外し、他の2人のCBを使うようになった。クルゼイロの地元ベロリゾンデの記者によると、スコラーリが外した理由は、彼がCBに求めるテクニックを十分に持っていなかったからだそうだ。

 そこでまたカカは売却の対象となる。まずアトレティコ・パラナエンセとコリンチャンスが彼を欲しがったが、クルゼイロが満足のいく条件ではなかった。CSKAモスクワからの150万ドル(約1億6500万円)のオファーもやはり却下。日本のヴィッセル神戸と横浜FCも興味を持ったようだが、具体的な値段を示すまでには至らなかった。
 

次ページ1部にも少し安くて名の知れた選手はいるが…

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