【明神智和】長友佑都のポジショニングに注目!切れ目ない攻守の切り替えに見えた森保ジャパンの神髄

2021年05月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

いわゆる「3人目の動き出し」も良好だった

明神氏も長友のポジショニングの良さを称賛した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 10-0の勝利で、ワールドカップ・アジア2次予選突破を決めた試合で改善点を見つけるのは結構難しいですね。

 率直な感想は、最後まで誰ひとり緩むことなく、細かいプレーまで全員が意識高く行なっていた。それを試合終了の笛が鳴るまで全員が続けた。そういう森保ジャパンの素晴らしさが見えました。

 このミャンマー戦を振り返って印象的なのは、もちろん10ゴールを決めるという攻撃の良さもあると思うのですが、同時に「切り替えの早さ」が目立ちました。

 もちろん相手のレベルや状況も影響したと思いますが、攻守の切り替えが一体化しているというか、攻撃が終わったから守備ではなくて、攻守両方が意識として連続していました。攻守の切り替えに切れ目がなく、連続性があり、意識を切り替える頭の回転の早さ、それを実行する身体的な速さ、さらにそこに対しての強さが備わっていて、レベルが上がっているなと感じます。

 マンチェスター・シティとかバイエルンとか、欧州のトップレベルのチームでは、前線の選手は攻撃だけではなく、切り替えの早さも超一流。ミャンマー戦での日本代表の攻撃陣も、取られた瞬間にボールを奪い返しに行き、出来るだけ高い位置でボールを奪うためにプレッシングをする。その意識の高さによって、凄く締まった試合になったと思います。
 
 そんな攻守の切り替えが得点に結びついた好例としては、22分の大迫選手の得点に繋がったシーンです。味方のパスにディフェンスライン裏に抜け出そうと走っていた伊東選手が、相手にカットされた瞬間にそのままボールを奪いに行って、左サイドまで繋げました。解説の中村憲剛さんも言っていましたが、攻撃から守備の切れ目がない。とにかく攻守の切り替えが早いので、そこでボールを奪えると、高い位置から2次攻撃に繋がり、ゴールまで行ける。

 同様に南野選手の2点目となった66分のシーンでも、遠藤選手が切り替えの早さを見せています。

 他には、グループでの連係、いわゆる「3人目の動き出し」が良い場面も目立ちました。

 1点目の南野選手のゴールの直前には、吉田選手から鎌田選手への縦パスが入ります。その時、南野選手は自身もパスを受けられる状態を作りながら、状況を見て、鎌田選手に入れろという合図を出し、そこに3人目の動きとして自分が関わっていきました。

 得点にはならなかったですが、前半15分ぐらいには、板倉選手から、鎌田、遠藤、守田、鎌田と繋がった場面もあって、「3人目の動き」の連続でした。

 そういうプレーを連続で出すには、関わる選手たちが同じ絵を描けていないと出来ません。

 現在はコロナ禍の影響もあって、日本代表チームの活動は少ないですけど、ある程度メンバーも同じなかで試合を重ね、お互いのプレーの特長というのも掴んできている表れでしょう。
 

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