J3降格圏に低迷する大宮が体制を一新! シーズン折り返しまでに「一桁順位」を目指し、右肩上がりの逆襲なるか

2021年05月28日 松澤明美

10節を終えて21位のところで佐野社長は声明を出していた

今シーズンは苦戦が続く大宮。ついに監督解任の事態となった。写真:田中研治

 10戦未勝利のJ3降格圏と低迷が続く大宮アルディージャは5月25日、岩瀬健監督と西脇徹也フットボール本部長の解任を発表。その西脇徹也本部長は19日に「現体制でやります」と明言していたが、わずか1週間での方針転換だ。

 27日にオンラインで会見を行なった佐野秀彦代表取締役社長が経緯を説明。成績向上へさまざまな策を練っているとし、「西脇が話したような内容も打ち手のひとつで、今回の大きな決断も打ち手のひとつ」と言う。「かなり幅広く打ち手を考えたなか、決定打はギラヴァンツ北九州戦」と1-3で負けた下位直接対決を挙げた。

 後任監督が決定するまでは、女子の大宮VENTUS総監督で元なでしこジャパン監督の佐々木則夫トータルアドバイザーが暫定指揮を執る。フットボール本部長と強化部長を佐野社長が兼任し、秋元利幸経営戦略本部グローバルマネージャーが強化部長代理を務める新体制も打ち出した。

 解任となった岩瀬監督はシーズン開始時からトップチームを率いるのは初めてだった。

"新人監督"の抜擢に西脇本部長は「新しい大宮にトライしていくなかにおいて、経験や実績とかではなく、我々とともに指導者として新しいキャリアを積んでいく方が今年から必要ではないか。それが岩瀬監督」と期待を寄せた。岩瀬監督は現役時代に大宮でプレー経験があり、クラブの「歴史、文化や起源を知っている」(西脇本部長)ことも大きかった。

 また、岩瀬監督と西脇本部長は千葉・習志野高の先輩、後輩の間柄。大塚真司コーチは同校サッカー部のチームメートで同級生だ。さらに、岩瀬監督と旧知の山本真コーチ、小林直行コンディショニングコーチも呼んでサポート体制を整えた。
 
 岩瀬監督自身は抱負をこう語った。

「大事にしたいのは勝つこと。良い監督と言われるのは勝ってから言われる。基本的にはプロサッカーの監督であれば勝つこと以外、評価の対象にはならない。プロセスも大事だけど、大切なのは試合に勝たせる、勝つことが大事。すべてに勝って昇格するつもり」

 高い志は報われずに15試合で2勝5分8敗の勝点11。J1昇格圏どころかJ3降格圏に沈み、首位・京都サンガF.C.とは勝点24差、2位・アルビレックス新潟は勝点22差と開いた。

 10節を終えて21位のところで佐野社長は声明を出していた。「7月の中断期間を迎えるまでが最大の正念場と捉え、シーズンの折り返しを迎える時点で『J1昇格』を狙えるポジションを目指す」。しかし、そこから3分2敗と上昇の兆しはなく、動くこととなった。
 

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