【バイタルエリアの仕事人】vol.5 川辺 駿|代表定着を志すボランチが、影響を受けたレジェンドたち… 対戦相手でも凄みを感じたのは?

2021年05月27日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

代表は良い基準となる選手がいるので、分かりやすく自分に足りない部分が見えた

日韓戦でA代表デビューを飾った川辺。86分からの出場だったが、「大きな一歩だった」と振り返った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第5回は、サンフレッチェ広島の司令塔として攻守両面で存在感を発揮する川辺駿だ。前編では舵取り役を担う広島でのプレーについて語っているが、後編ではさらに自身のサッカー観について深く掘り下げていく。

 5月20日、川辺はワールドカップ・アジア2次予選3試合と国際親善試合の2試合に臨む日本代表に、3月シリーズに続いて選出された。国内組唯一のボランチとして今回も選ばれた川辺は、初招集となった前回のA代表での活動をどのように感じていたのだろうか。

――◆――◆――

 A代表デビュー戦となった韓国戦は、注目度の高いゲームでしたし、個人的にも初めて選ばれたので、もちろん緊張感もありました。終盤の86分からの出場でしたが、3対0で勝っていてピッチに入りやすい状況もありましたが、短い時間の中でも噛み締めるようにプレーしましたね。デビュー戦は一度しかないですし、自分の中では大きな一歩。やっぱり行ってみて、レベルの高さも感じました。

 ある程度のレベルの高さは想像していましたけど、それでも練習でのゲームのスピード感、強度は普段感じられないものでした。練習だけでも少し疲れたなと感じましたね。やはり普段よりもスピードを上げなきゃいけない、正確にやらなきゃいけないと、そう考えながらプレーしている分、練習が終わると疲労感に繋がっていました。そのくらい集中していたと思いますね。

 ゲーム形式の練習では、自分が対峙した遠藤航君だったり、同い年ですが守田英正だったり、そういう選手たちの判断の速さ、そのなかでの良い準備など学ぶべき点は多かった。やっぱり良い基準となる選手がいるので、分かりやすく自分に足りない部分が見えたかなと思います。

 ただし、いろんな選手から言われましたけど、最初はスピード感の違いに驚くのですが、そういう部分に慣れていけば、しっかり自分のプレーを出せると感じましたし、逆に練習の強度が高い分、試合では少しスペースがあるようにも感じて、プレーしやすかったなという印象でした。

 代表からチームに帰ってからは今までのプレーが遅かったというか、もっと速くできるなと思うし、普段からプレーのテンポを上げたり、精度を上げていかなければいけないし、いろんなことがまだまだかなと感じました。チームでも意識すべき部分、指標となる部分ができましたね。

 もちろん、よりゴールに直結するバイタルエリアでのプレーについても、もっと判断の速さ、自分自身のスピードを上げていきたいと感じたし、周りの選手との関係性も作っていきたい。それが出来れば、相手より一手二手判断速くプレーできるし、その分シュートを打つ余裕も出てきますよね。逆に守備面では、航君を見てもバイタルエリアの部分ではすごく強度が高く、絶対にやらせないという守備力があるので、本当に見習うべきポイントが多かったなと思います。

 もちろん、今後も代表に選ばれ続けたいという気持ちがありますし、そのためにも広島で何をしなければいけないのかも明確になっています。その意味では、今のチームの順位では物足りないですし、あのレベルの高さでプレーをしたいというのを感じていますね。
 

次ページプロになって改めて強く意識するようになった「バイタルエリア」。外国人選手とのプレー機会が多くなって変わったのは…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事