「今のままでいいのか」青森山田・黒田監督が28周年を迎えたJリーグに持論!雪国の地から発信したいこととは?

2021年05月23日 安藤隆人

プレミアリーグEASTで開幕6連勝。「Jリーグの日」の翌日に指揮官を直撃

青森山田を率いる黒田監督。28周年を迎えたJリーグについて持論を語ってくれた。写真:徳原隆元

 今季の高円宮杯JFA U-18プレミアリーグEAST(以下、プレミアEAST)で開幕から6連勝と首位をキープする青森山田。昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でプレミアEASTがなくなり、青森山田はスーパープリンスリーグ東北でプレーすることを余儀なくされたが、2年ぶりのプレミアで23得点・1失点という圧倒的な数字を叩き出し、ここまで優勝候補筆頭と呼ぶにふさわしい戦いぶりを見せている。

「どのチームも青森山田をどう倒そうとするか工夫をしてくる中で、我々には去年の経験に加え、責任と自覚を持った選手が揃っている。今年の選手たちは全てのタイトルを取る、全て勝つ気持ちでやっている。我々指導者としてもその選手たちの姿勢を尊重したいし、目指さない理由はありません。育成年代における強さ、トレンドを飛び越えて雪国・青森から全国に発信していく。それを選手たちが望んでいるし、育成年代のサッカーをより変えていきたいと思っています」

 6節の流通経済大柏(5月16日)との高体連対決を3-0で制した後、黒田剛監督がこう口にしたように、青森山田の選手たちはエース松木玖生や宇野禅斗、ストライカーの名須川真光と言った昨年を経験している技術レベルの高い選手たちが、屈強なフィジカルと走力、そして球際の強さを発揮して攻守において強度の高いプレーを見せているからこそ、全勝という結果を生んでいる。

「テクニカルな部分はもちろんですが、スピード、フィジカル、メンタルのすべてにおいて戦っていける選手になっていかないと、日本のサッカーとして良くないんだというメッセージを送っていきたい」(黒田監督)

 流経大柏戦の前日の5月15日は、『Jリーグの日』。28年前のこの日に国立競技場で行なわれたヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)vs横浜マリノス(現・横浜Fマリノス)との一戦でJリーグが開幕した。

 28周年を迎えたJリーグに対し、1995年の監督就任から26年に渡って青森山田を指導し、柴崎岳(レガネス)、室屋成(ハノーファー)、菊池流帆(ヴィッセル神戸)ら多くのJリーガーを輩出している黒田監督。育成年代への想いを受けて、今のJリーグに対する見解を聞いてみると、こう口を開いた。
 
「今のJリーグはかなり発展しているわけでも、衰退しているわけでもなく、これから良くなるためにみんなで考えて、工夫しようとしている段階だと思っています。だからこそ、みんなもがき苦しんでいる。その中で我々ができることは、育成年代を盛り上げ、上で戦える選手を増やすこと。日本が世界のトップ10に行くためには今のままでいいのかという、クエスチョンは誰もが持っていると思います。

 日本の特徴を聞かれると、多くの人が『俊敏性があって、堅実で勤勉』と言うのですが、もちろんそれはありますが、海外を相手にリスタートやヘディングで負けていいかというとそうではないですし、全てにおいてやり方によっては戦えると思うのです。もちろん海外の強国はフィジカルレベルも高さも凄いものを持っているのは間違いありませんが、では、そこに対して真っ向勝負をするのではなく間合いをとったり、タイミングを図ったり、相手の呼吸を崩して競り合えば勝てることもある。

 今年の我々のチームは180cm以上の選手がGK以外はいない状態ですが、セットプレーから点が取れるし、競り合いでも十分に戦える。身体的ディスアドバンテージはトレーニング次第では克服できることを我々が証明していきたいと思っています」

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