【連載】識者同士のブンデス放談「残り2節、どうなる残留争い!? EL出場権の行方は!?」

2015年05月16日 遠藤孝輔

ヘルタはカルーを柱に原口、シュトッカーの好調が心強い。

勝点4差のなかで6チームがしのぎを削る残留争い。そのうちの1チーム、ヘルタ・ベルリンにはこの原口が在籍。残留への救世主となるか。 (C) Getty Images

遠藤孝輔:残り2節のブンデスリーガ、ずばり見どころは残留争いです。ヘルタ・ベルリン(勝点34)、ハンブルク(同32)、フライブルク(同31)、ハノーファー(同31)、パーダーボルン(同31)、シュツットガルト(同30)の6チームに絞られたと思いますが、中野さんの展望はいかがですか?
 
中野吉之伴:個人的にはハンブルク、ハノーファー、パーダーボルンが危ないと思う。ハンブルクはラッバディア新監督(29節から指揮)の"効果"がそろそろ切れそうな気がする。試合内容を度外視して、気合だけで戦っているため、運に任せたサッカーになっている感が否めない。
 
 ここ3試合は2勝1分けと上手くいっているけど、今日(5月16日)のシュツットガルトとの残留を懸けた直接対決ではそれだけでは勝てないかと。
 
 逆に粘り強さがないという問題を抱えているのがハノーファー。この段になっても、どことなく見栄えの良いサッカーをしようとしているところが不用意なプレーに結びついてしまっている。
 
 パーダーボルンはチームとしてのまとまりがあるけど、戦力的に一番下。相手の弱点をうまく突かないかぎり、勝点3を拾うのは難しい。
 
遠藤:ハンブルクもハノーファーも、キャプテンが今シーズン限りで退団します。ファン・デルファールト(→未定)とシュディンドル(→ボルシアMG)です。その事実がチームのメンタルに悪影響を及ぼしかねないとも思います。
 
中野:ファン・デルファールトに関してはプレー内容の悪さもあり、ファンからの信頼を失っている。サポートが得られず、それが回り回ってチームに悪影響を及ぼすということにはなるかと。アウェーよりもホームで苦戦する試合が多いのは、そうした事情があるからかもしれない。
 
 対照的にシュティンドルはファンから愛されている存在。ハノーファーのために最後まで尽くしてくれるという信頼を得ている。チームメイトからも信頼されているし、退団の事実が悪影響を及ぼすということにはならないかと。
 
 ただ、シュティンドルがゴールを決めると勝てないという嫌なジンクスがあるので、それを払拭できるかがポイントかもしれない。
 
遠藤:なるほど、面白い見どころです。組織としての完成度は低くないフライブルクはいかがでしょうか? 33節にホームでバイエルン、最終節にアウェーでハノーファーとの直接対決が控えています。
 
中野:フライブルクは残留争いの経験が豊富な点がメリットと言えそう。バイエルンとの対戦は厳しいけど、ハノーファーとの直接対決に全てを懸けるだろうし、それができるだけの経験がある。
 
 またクラブの規模がブンデスリーガ最小という事情もあり、2部に落ちても仕方がないというファンの理解もある。「2部に落ちたら大問題!」というプレッシャーに晒されているハンブルク、シュツットガルト、ハノーファーに比べて、「今できるベストをしよう」という姿勢で戦えるのは大きいと思う。
 
 それはパーダーボルンにも当てはまるかなと。失うものがないクラブの解放されたプレーは残留争いで大きな武器になるので。
 
遠藤:フライブルクのエース、メーメディがここにきて4戦2発と調子を上げているのも好材料でしょう。一方で、ハンブルクも点取り屋のラゾッガが尻上がり。パーダーボルンはルップが2戦3発と好調です。いわゆるラッキーボーイが出現するかも、残留争いの行方を左右しそうです。注目している選手はいますか?
 
中野:試合を決めるのはもちろんストライカー。どのチームもここにきて、実績より調子で選手を起用するようになっている。
 
 メーメディ、ラゾッガ、ルップの他だと、ハノーファーはヤ・コナン、シュツットガルトはギンチェクが存在感を示している。ヘルタ・ベルリンはカルーを柱に、原口、シュトッカーの調子がいいのがプラス材料。
 
 一方で、勝負の行方を左右するのはフィルター役。チームとしての戦い方に不備があるから下位にいるわけで、守備の綻びを何とかしてくれる選手のパフォーマンスが重要だと思う。
 
 チーム力で勝負するフライブルクやパーダーボルンは前線からの守備が機能することが最重要ポイント。シュツットガルトはバーゼルから冬に加入したディエが確実にチーム力を上げたし、ハンブルクはこれまでずっと冷遇されていたカチャルが闘争心をむき出しにしたプレーで勝利に貢献している。

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