インハイ予選での復権を期す! 浦和サッカーが誇る伝統校、県内公立で2校目の“人工芝グラウンド”に込めた想い

2021年05月18日 河野 正

こけら落としの正智深谷戦は劇的な逆転勝ち!

伝統のキットに身を包む市立浦和イレブン。目ざすは全国の舞台への帰還だ。写真:河野正

 埼玉県を代表するサッカーの強豪校、さいたま市立浦和高校のグラウンドが人工芝となり、公式大会としては5月16日に行なわれた高円宮杯U-18サッカー、埼玉S1リーグでお披露目された。県内の公立校で校庭を人工芝に変えたのは、2017年3月に竣工したさいたま市立浦和南高校に続いて2校目となる。
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 昨年10月30日から着工し、サッカー場や野球場の外野に人工芝が敷かれ、この大型連休明けにピッチの改良工事が完了した。13日にグラウンドが開放され、サッカー部は同日の練習から使用開始。今後もピッチ周辺の部分工事などが続き、工期は8月31日を予定しているという。

 さいたま市が人工芝への張り替えを決めたのは防塵対策からだ。閑静な高級住宅街に囲まれた同校は、砂ぼこりが煙のように舞い上がることしばしばで、スプリンクラーも校庭全体をカバーできず、地域住民からの改善要求が絶えなかった。

「私が在学していた時も、特に夏場はほこりがひどかったですね。あれから30年近く経過し、こんなに素晴らしい環境にしていただいてありがたい。感無量です」

 母校に戻って3年目の大野恭平監督は、鮮やかな緑がグラウンド全面に広がる光景を見つめながら、感慨深そうにこう話した。
 
"こけら落とし"は、現在J1得点ランキング2位タイのオナイウ阿道(横浜F・マリノス)を輩出し、全国高校選手権に3度出場している正智深谷との1戦だ。後半4分に先制されたが、42分にFW林隆希が同点ゴールを挙げると、試合終了直前にはMF八木下岬が決勝点を蹴り込んで逆転勝ち。S1リーグは翌年のプリンスリーグ関東につながる大会で、チームはこの劇的な勝利で暫定2位に浮上した。

 正智深谷は、系列の埼玉工業大学の人工芝ピッチで練習するようになって14年目。小島時和監督は市立浦和の人工芝について「今はふかふかして天然芝に近いが、(ゴム)チップが雨にさらされていくと、芝がいい感じに締まります」と解説した。

 イレブンはウオーミングアップ中も芝の感触を楽しむように、笑顔ではつらつと動き回った。主将のMF栗田幹大は「ゴロのパスがきれいに通るので、質の高いポゼッション練習ができます。6月のインターハイ予選で優勝を狙い、冬の選手権にも出て、チームをあの時代に戻したいですね」と指揮官に視線を向けた。

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