【なでしこサッカー新時代】第2回 鮫島彩 (前編)|「なでしこが勝てるなら何でもやる!という気持ちなんです」

2021年05月26日 西森彰

「世界の⼥⼦サッカー選⼿のフィジカルは間違いなく上がっている」

鮫島選手は4月下旬に行なわれた合宿にも参加。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2021年、日本の女子サッカーは新たな時代に突入する。

 2020東京オリンピックは約2か月後に迫り、この秋には女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』が誕生する。なでしこたちは来るべき時に備えて、コロナ禍という難しい状況のなか、ひたすら前を向き、準備を進めている。

 節目を迎えるこの時だからこそ、これからWEリーガーとなる選手たちの声に耳を傾けてみたい。彼女たちが語る、なでしこサッカーの未来とはいかなるものか。

 第2回には、鮫島彩選手が登場。INAC神戸から、新参入する大宮アルディージャVENTUSに籍を移した33歳は、2011年の女子ワールドカップでは左サイドバックの主力として優勝を経験し、現在もなお、なでしこジャパンの中心選手として活躍している。

 今やチームを率いる立場となったベテランに、オリンピック、そしてWEリーグに対する想いを聞くと、言葉からは熱い思いが迸った。
 

――まず、先⽇のパラグアイ、パナマとの2連戦には、どちらも7−0と圧勝。シーズン明けであり、チームとしては1年ぶりの試合でしたね。⼿応えはいかがですか?

 収穫はありました。私⾃⾝もそうですが、今シーズンで初めての90分間出場という選⼿
もいましたし、(東京五輪の本番と同じ)会場で試合ができたということもそうです。今回は、攻撃に重きを置いてというか、レパートリーを増やすといった点で、できた部分もあれば、まだまだ詰めていきたいなという部分もたくさん⾒つかりました。

――チームの勢いも感じました。

 ただ、試合は⾃分たちがボールを持った時間帯が⻑い試合でした。これが五輪の本番では、相⼿の強度は格段に上がるので、その時に⾃分たちがどう対応できるのかが重要です。選⼿全員が「五輪本番は、全然違う」という認識をどれだけ持っていられるか…本番に向けて、そこを意識していかなければいけないと思います。

――左SB のイメージが強い鮫島選⼿ですが、(常盤⽊学園)⾼校時代からサイドハーフでプレーし、3年前のアジア⼤会前後はセンターバックでもプレーされています。なでしこジャパンでの、ポジションへのこだわりは?

 高倉(麻子)監督からは「SB とCB を頭に⼊れておいて」と⾔われています。どちらでプレーするにせよ、⾃分の強みはスピード。SBなら攻撃的なオーバーラップ、CBなら裏のスペースのカバーリング。そのあたりは、きちんと⾃分の仕事をしっかりやりたいです。

――五輪に臨むにあたり、⼀昨年の⼥⼦W杯・フランス⼤会を戦ってみての課題はどう捉えているんでしょうか?

 2019年の⼥⼦W 杯以前からですが、(左SB がマッチアップする)右サイドのアタッカーは、どの国もスピードタイプが多くて、対応は永遠の課題です。ただ、2011年(⼥⼦W杯ドイツ⼤会)、2012 年(ロンドン五輪)、2015 年(⼥⼦W 杯カナダ⼤会)あたりと⽐べると、世界の⼥⼦サッカー選⼿のフィジカルは間違いなく上がっていると感じます。
 

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