「なんて冷酷な決断だ!」”兵役逃れ”の元韓国代表FW、フランス帰化の意向を母国メディアが糾弾!

2021年05月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

なぜ韓国のサッカーエリートは“呼びかけ”を無視するのか

一大騒動に発展しつつある兵役忌避問題。ソク・ヒョンジュン自身は沈黙を守っている。(C)Getty Images

 いわゆる"兵役逃れ"で渦中のひととなっているのが、元韓国代表FWのソク・ヒョンジュンだ。現地5月1日には「フランスに帰化する準備を進めている」との報道が衝撃をもたらし、韓国国内で一大騒動に発展しつつある。

 韓国において成人男子は、基本的に28歳までに兵役を履行しなければならない。スポーツ選手の場合は五輪でのメダル獲得、アジア大会での金メダル奪取のどちらかを果たせば、免除される特別ルールがあるが、きわめて稀なケースだ。ソク・ヒョンジュもオーバーエイジ枠で2016年のリオ五輪に臨んだが、グループリーグ敗退で権利を獲得できなかった。どんな理由であれ、兵役に従事するのは韓国国民の義務。逃れようとすれば相応のバッシングを浴びるのも常である。

 ソク・ヒョンジュンは現在29歳。高校卒業後の18歳で欧州へと旅立ち、アヤックス(オランダ)やポルト(ポルトガル)の名門クラブでもプレーした経歴を持つ。今シーズンはフランス・リーグ2部のトロワに籍を置き、ここまで16試合に出場して3得点をマーク。190センチの長身から繰り出す迫力満点のヘッダーが魅力で、韓国代表としてもアンダー世代から活躍し、国際Aマッチ15試合(5得点)に出場している。

 そんなサッカーエリートが、当局からの呼びかけを無視し続けているのだ。

 ソク・ヒョンジュンは満28歳を迎える前の昨年4月までに帰国し、兵役に就く必要があったが、トロワでのプレー続行を決断。管轄する韓国・兵役庁はこれを明白な違反行為と見なし、すぐさま勧告を発令する。2020年末には256名にのぼる「今年の兵役忌避者リスト」に、ソク・ヒョンジュンの名を掲載。その時点でも同選手は批判の矢面に立たされた。
 
 だがそれでも、選手側からなんらレスポンスがなく、状況は変わらない。業を煮やした兵役庁はついに強硬手段に出る。4月28日、チョン・ソクファン庁長はみずから声明を発表し、「(ソク・ヒョンジュンは)ただちに帰国して義務を果たすべきだ。まだ間に合う。すでに兵役法に基づいて、旅券(パスポート)は無効とする措置を講じた」と明かす。帰国後の刑罰は避けられないが、兵役義務さえ全うすれば、それ以上の罪は問わないと語りかけたのだ。

 選手本人からの反応がないなか、驚きのニュースを伝えたのがトロワの地元雑誌『Les Eclair』だった。ソク・ヒョンジュンが事態を解決するため、フランスへの帰化申請を決断したと報じたのである。

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