ESL構想に英国内のサポーターが例を見ない団結! アンチが多かった元英代表DFは一夜にして“勇者”になった【英国人記者の目】

2021年04月29日 スティーブ・マッケンジー

抵抗したチェルシーのサポーターに国中が拍手

アンチも少なくなかったネビル。ESLを痛烈に批判したことで称賛を浴びた。 (C)Getty Images

 ここ数週間、欧州スーパーリーグ(ESL)について、イングランドでも多くの記事が書かれている。主なテーマは、ESLの開催を阻止するためにファンがいかに重要な役割を果たしたかに尽きる。

 私は、各クラブのサポーターの間にはユーモアが存在していることを思い知った。今回の件では、誰も想像もしなかった、クラブの垣根を超えて、サポーターが団結するという信じられない事態が起きたのだ。

 そもそも、プレミアリーグにおいて異なるクラブのサポーターが同じ意見を持つことは、非常に稀である。対戦相手とは一触即発、罵声や怒号でやり合うことがあっても、基本的には仲が良くはならない(もちろん、日常生活は別だが)。

 ESL構想が発表されたのが日曜日で、チェルシーは火曜日にブライトンと対戦予定だった。するとブルースのサポーターはスタジアムに集結し、ESLへの軽蔑を声高に叫んだ。イングランドのサポーター集団のなかでも、チェルシーのファンはさほどクラブへ抗議する頻度が高いわけではない。だが、試合前のスタンフォード・ブリッジの周りにはサポーターが集結し、ESLに反対するバナーを掲げ、警備員たちに抑え込まれる事態になった。(コロナ対策のため、もちろんまだ観客はスタジアムに入れない)
 
 そしてなんと、国中のサポーターがこのチェルシーのサポーターたちに拍手を送ったのだ。対戦相手のブライトンのサポーターでさえも。こんなことは、本当にめったにない。おそらく、これほど多くのファンが集結したことも、クラブにとっては想定外だったのだろう。

 さらに、チェルシーのサポーターと同じように拍手を送られた"勇者"がいる。元イングランド代表&マンチェスター・ユナイテッドのDFだったガリー・ネビルだ。普段は『Sky Sports』の解説者として活躍しているが、この構想が発表されてすぐさま「クソみたいな計画だ」とこき下ろし、参加を表明したビッグ6を激しく糾弾した。

 口の悪さと元ユナイテッドということで、国内にはいわゆるアンチも多かった彼だが、あまねくサポーターから惜しみない称賛を浴び、一躍人気者になってしまったのである。
 

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