浦和も注目の京都橘エースストライカーに指揮官が敢えて投げ掛けた厳しい言葉「このままではプロに行っても…」

2021年04月26日 松尾祐希

「将来のことを考えると、キャプテンをやっておいた方がいい」

今季は京都橘のキャプテンも務めるFW木原。昨冬の選手権では得点を挙げるなど、存在感を示した。写真:松尾祐希

 京都橘にとって、背番号7は特別だ。仙頭啓矢(鳥栖)などが背負い、近年では岩崎悠人(千葉)がエースナンバーを託されて躍動した。上記に挙げたふたりはエースを務めただけでなく、キャプテンとして京都橘を牽引。チームを勝たせるために"覚悟"を持ち、大事な試合でゴールを奪ってきた。

 偉大な先輩たちが背負ってきた7番――。今季、大役を託されたのがFW木原励(3年)だ。昨冬の選手権では背番号9を背負い、西野太陽(徳島)とのコンビで存在感を発揮。3月にはU-18日本代表候補に選出された。そうした実績を踏まえ、今季はチームの核となる。その中で与えられた役割はただひとつ。先輩たちと同じく、エースとして主将として、絶対的な存在になること。しかし、現状ではその期待に応えられていない。

 4月24日のプリンスリーグ関西・4節の興國戦。終盤の連続失点により、0-2で敗れた一戦で木原は決定機をモノにできなかった。とりわけ、後半立ち上がりに迎えた好機には悔いを残す。連続で迎えたチャンスを決め切れない。50分には右CKから完璧なタイミングで相手を外してヘディングでゴールを狙ったが、ポストに阻まれてしまう。「(押し込んでいた)後半の序盤に得点が取れないとやばいなと感じていた」とは米澤一成監督の言葉。木原が決定機を決めていれば、試合の結果は違ったかもしれない。

 試合後、米澤監督は木原に言葉を掛けた。

「責任を感じろ」

 何故、米澤監督は厳しい言葉を投げ掛けたのか。それは自身と向き合って欲しかったからだ。

「(試合に勝たせる選手になる気持ちは)まだまだ弱い。理想はあるんでしょうけど、現実はそんなに甘くない。彼はまだそこまでストイックではないんです」

 指揮官が木原にキャプテンを託したのも、精神的な成長を願っての抜擢だった。

「あえて、木原をキャプテンにしました。西野と同じようにキャプテンにせず、得点を取る作業に集中させる考えもあったんです。ただ、彼は人に物を言ったり、相手に嫌がられたとしても厳しい意見を言えない。それが苦手なんです。このままではプロに行っても活躍できない。西野はストライカー的なエゴイストな部分を持っていた。でも、木原にはその姿勢も物足りない。将来のことを考えると、キャプテンをやっておいた方がいいんです」

 本人も問題点を理解している。

「岩崎君は相手がどれだけ格上でも、自分でチームを引っ張って結果を残してきた。敗戦する試合もあったと思うけど、常にチームを鼓舞し続けていた。そこは今の僕に不足している。精神面でもプレー面でも、もっと違いを見せないといけない。自分がいないとダメというぐらいの存在にならないといけないんです。興國戦もゴールを決めるチャンスがあったので、強豪相手に対しても得点を決めないといけない」
 

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