「ガンバは本物のアタッカーを手に入れた」デビュー間近のG大阪ウェリントン・シルバってどんな選手? なぜアーセナルで“出場ゼロ”だったのか【ブラジル発】

2021年04月25日 リカルド・セティオン

スペインの小さなクラブを転々

アーセナルにも在籍したウェリントン。Jの舞台でどんなプレーを見せてくれるのか。 (C) Getty Images

 アジア・チャンピオンズリーグで優勝し、クラブワールドカップで3位になったこともあるガンバ大阪は、ブラジルでも有名なJクラブのひとつだ。私も良いイメージを持っている。何より買っているのは、選手を選ぶ目の確かさだ。

 そのガンバが、また素晴らしい補強をした。ブラジルでも違いを見せていた"本物のアタッカー"、ウェリントン・シルバを手に入れたのだ。この28歳の獲得は、今季のJリーグで、もっと良い補強のひとつだと思う。そのデビューがいよいよ近づいているようだ。

 フルミネンセでキャリアをスタートさせたウェリントンは、16歳という若さでトップチームに登録された。そのプレーはすぐに欧州のビッグクラブの注目を集める。レアル・マドリー、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなども獲得に動いたが、争奪戦を制したのはアーセナルだった。2011年に彼を400万ユーロ(約5億円)で手中に収めたのだ。

 だが、ここで問題が発生した。プレミアリーグでプレーするための労働ビザを、ウェリントンは持っていなかったのだ。当時のイングランドではその国の代表チームで20試合以上をプレーした者だけに、労働ビザが自動的に与えられた。しかし、彼はU-17代表しか経験がなく、この条件には該当しない。ビザの発給を待つ間、経験を積むことも兼ねて、スペインのレバンテにレンタルされた。

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 しかし、そのまま4シーズン近くをスペインの小さなクラブを転々として過ごすことになる。なぜなら、ようやくビザが下りたのが2015年だったからだ。ウェリントンはイングランドに戻って来たが、すでにプレミアリーグはシーズン半ばで、アーセナルは彼をチームの構想に入れることができなかった。

 そこで今度は、イングランド2部のボルトンにレンタルした。しかしウェリントンはこの時セレソン入りを目指しており、ボルトンではそれが難しいと判断、2016年に古巣のフルミネンセに戻ってきた。結局、ヨーロッパでは芽が出ない形の帰国だったが、もしビザに不備がなく最初からガナーズでプレーしていたなら、彼のキャリアはまるで違うものになっていたかもしれない。

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