“戦力外”でもバルサに残ったプッチとレンタルに出たアレニャの明暗。「チーム選びを間違えると…」【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2021年04月25日 小宮良之

自らPKキッカーを志願したことで、流れは変わった

移籍を勧められながらもバルサに残留したプッチ(左)と出場機会を求めてヘタフェにレンタル移籍をしたアレニャ(右)。(C) Getty Images

<どんなチームでも活躍できる実力を備える>

 それは、サッカー選手がプロとして生きていくための理想と言えるだろう。適応力。それは欠かせないものだ。チームが求める要求を満たすことで、限界を破ったり、プレーの幅を広げたり、もできる。できることをすればいい、というものでもない。着地点を探しつつ、適応し、集団に貢献し、プレーヤーとして成長する、という作業だ。

 しかしながら、チームは選ぶべきかもしれない。

 なぜなら、自分の特色とチームが掲げるプレーモデルがあまりにかけ離れていると、激しいノッキングを起こす。不具合が大きすぎると、努力だけではどうにもならない。合わせすぎると、自分の良さを失うし、自分を貫こうとすると、チームの中で浮くことになる。

<自分が身につけてきたプレーを最大限に生かす>

 それがプロとして最善だ。

 もっとも、妥協しなければならない場合があるだろう。十分に予想できることだが、「どうしても出場機会が欲しい」と考えると、あえて厳しい状況でも飛び込んでしまうことはある。切羽詰まって、そうせざるを得ないかもしれない。あるいは、思った以上の条件に釣られ、挑むこともあるか。

 しかしチーム選びで間違えると、停滞どころか、後退する羽目になる。

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 FCバルセロナのMFリキ・プッチは、その現実を弁えているのだろう。

 今シーズン、プッチは新監督に就任したロナウド・クーマンから「戦力外」を通告され、移籍を勧められたという。守備の再建を目指す中、タフな選手が好まれたが、彼は小柄で高いパスセンスを特徴としていた。そこで、レンタル移籍は有力な選択肢だった。事実、今年1月には同じような状況のカルレス・アレニャが、ヘタフェへ移籍した。

 しかし、プッチはバルサでのプレーにこだわった。ボールポゼッションを基調とし、高い位置でボールを回し、コンビネーションで崩す。そのために集められた選手が多く、ボールプレー技術に長けたプッチは、そこで自分のプレーを一番生かせると信じたのだ。

 ほとんどプレー機会を与えられなかったが、今年1月のスーパーカップ、自らPKキッカーを志願したことで、流れは変わった。終了間際の出場で、PKを蹴らされたら、負けた場合の戦犯になる。その危険を顧みず、敢然とPKを成功し、チームに勝利をもたらした。その功績が指揮官に認められ、以来、プレー時間は少しずつだが増えている。

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