プリンスリーグ関東２節で早くも注目のダービーが実現した。ともに群馬県の強豪であり、全国的に見ても高い実力を持ったチームと評されている桐生一と前橋育英が、桐生一のホーム・あずまサッカースタジアムで激しくぶつかり合った。

「やっぱりあのタイガーのユニホームを見るとスイッチが入るんです」と桐生一のプロ注目アタッカー・寶船月斗が語ったように、キックオフとともにまずは縦へのボールで桐生一が一気に押し込みにかかった。

　これに対し、前橋育英は守備の要である岡本一真と桑子流空を負傷で欠いた影響もあり、ディフェンスラインが下がってしまった。チームの心臓である根津元輝と徳永涼の２年生ダブルボランチがリバウンドを拾ってボールを集約し、得意のパスでテンポを生み出そうとするが、「相手の前への迫力に少し押し込まれてしまった」と徳永が口にしたように、全体を前に押し上げることができず、桐生一にチャンスを作られた。

　開始早々の7分には、桐生一のFW小林凌大の突破をファウルで倒してPKを献上。これを小林自らが冷静に決めて、桐生一が幸先よく先制に成功した。これで勢いに乗った桐生一は１トップの吉田光希が抜群のキープ力とポストプレーを駆使して、前線で起点になると、トップ下の小林と左の青木暖、右の寶船がスピードを武器に飛び出していく。

　23分には小林のキープからの反転スルーパスに左サイドバックの倉上忍が完全に抜け出すが、これは前橋育英のGK渡部堅蔵のファインセーブに阻まれる。直後に今度は寶船が右サイドからトップスピードで仕掛け、強烈な右足のシュートを見舞う。大きなインパクト音とともにボールは弾丸ライナーでゴールに向かうが、これもGK渡部の好守に阻まれた。

　そして42分に桐生一はビッグチャンスを迎える。中央でボールを受けた吉田が左サイドに抜け出した青木に正確なラストパスを供給。完全フリーになった青木に対し、GK渡部がペナルティエリアを飛び出して対応すると、左タッチライン側で青木と渡部が激しい球際の攻防を展開。青木が後ろに下げたボールに対し、倉上ががら空きのゴールに蹴り込むと、これがクロスのような形となり、飛び込んだ小林の頭へ届こうとした瞬間、ギリギリ反応して飛び込んだ前橋育英DFがヘッドでクリア。追加点とはいかなかった。