恐るべし、三笘。中村のトラップミスをまるで待っていたかのような動き出しは極上だった

2021年04月12日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

勝負の分かれ目となった川崎の3点目

中村のトラップミスを見逃さなかった三笘がここからフィニッシュに持ち込み、貴重な追加点。大きな分岐点だった。写真:徳原隆元

 4月11日に行なわた多摩川クラシコは、川崎がFC東京に勝利という結果に終わった。4-2というスコア以上の差を見せつけての、いわば横綱相撲だった。「打ち合う」(長谷川監督)スタンスで挑んだFC東京をスコアで上回り、さらに内容でも圧倒したわけだから、そう表現するのが妥当だろう。

 勝負の分かれ目となったのは、川崎の3点目だろう。59分、FC東京に1点を返されて2-1となりながらも、その2分後に三笘が追加点を決めて再び突き放したゴールである。

 そのゴールを振り返ればまず、川崎の右サイドバック・山根が敵陣にドリブルで持ち込んだボールを逆サイドの三笘めがけてフィード。これに反応したFC東京の中村拓がトラップミスすると、それを見逃さなかった三笘がこぼれ球をかっさい、そのままエリア内に進入して右足で蹴り込んだ。

 ここで見逃せなかったのが、中村拓のトラップミスをまるで待っていたかのような三笘の動き出し。中村拓の身体の向き、視線を計算したうえでの絶妙なポジショニング、ボール奪取だったと推測するが、いずれにしてもボール奪う直前からゴールまでのアクションは完璧だった。

 このゴールでFC東京が大きなダメージを負ったことは、失点直後にピッチに倒れ込んだCB岡崎の姿からも想像に難くなかった。やっとの思いで1点差に詰め寄ったのに、その2分後に再び突き放されたのだから、そこで心が折れたとしても不思議はないだろう。
 
 それにしても、三笘、恐るべし、である。もちろん味方のフォローがあるからあれだけ輝けるのだろうが、変幻自在のドリブルだけでなく、2点目のきっかけとなったL・ダミアンへの縦パスなど局面に応じたプレーの選択がとにかく素晴らしかった。単純に上手いだけでなく、判断力、戦術的インテリジェンスも備えていなければあれほどのパフォーマンスは披露できないはずだ。

 ドリブルとパスの使い分けが巧みで、こぼれ球への反応も秀逸。多摩川クラシコでのゴールはそんな三笘の持ち味が凝縮された一撃とも言えた。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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