紆余曲折のサッカー人生を歩んできた南葛SC新キャプテン。チームを導くポジティブ思考と人間性を育んだ経験値

2021年04月12日 伊藤 亮

「どっしり構えていないといけません。何があっても」

今季キャプテンを務める大河原。在籍4年目の守護神が「ポジティブ思考」でチームを牽引する。写真:滝川敏之

 前回のインタビューでは、大河原弘樹新キャプテンに2021年シーズンのチームの抱負を語ってもらった。

 その中で出てきたキーワードが「ポジティブ」。一見、当たり前のようでいて、保ち続けることが難しいメンタル要素だ。それでも説得力が伴うのはなぜか。それは新キャプテンがこれまでに歩んできたサッカー人生とも密接にかかわってくる。

 インタビュー企画第2回では、大河原弘樹というプレーヤーに焦点を当て、キャプテンに選ばれた理由を知ることから、南葛SCの目指すチーム像を探ってみたい。

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 今回のインタビュー前、南葛SCの練習を見させていただいた。コロナ禍の現在、以前のように練習見学をするのは、はばかられるのかもしれないが、チームの成長を実感してもらうには、練習を見てもらえば一目瞭然のはずだ、と感じた。

 ゲーム形式の練習では、狭いスペースでもポンポンとボールが繋がる。いったいどこにパスコースがあるのか、展開が速すぎて分からないくらいなのだが、なんとなくでなく、意図を持ってボールを繋ぐシーンの連続に圧倒された。ディフェンスも手を抜いているわけではない。いったいこのプレーがリーグ戦ではどう表現されるのか、早くも期待に胸が躍った。

 チームは、「止める」「運ぶ」を突き詰めた「ボールを大事にするサッカー」の精度を上げる意識を強く持ち、さらに進化しようとしているのは明白だった。

 大河原が「今やっていることは間違いない」と手応えを感じるのもうなずける。

「試合をするたびに課題は出ます。それをどう改善して昇格に向かうのか。それは日々の練習からみんなで意識していることです。新加入の選手も今日のような練習に普通に入っていける。すごく力のある選手たちが加入してきてくれて。あとはチームでやることを統一できれば」

 今シーズンもJリーグから有力な選手が複数入団した。さらに高校、大学からの若手も加入。チームは確実に選手層を増した。まさに盤石の体制。しかし、新キャプテンも自信を覗かせつつ、慢心はしない。

「今やっている通りでいいのですが、考えているのは、負けてしまったり上手くいかないことが続くことなど、問題は絶対に起きるということです。そのときに問題にどう向き合うか」

 歯車が嚙み合わなかった2019年シーズンの教訓がここにあるのかもしれない。たしかに、思い描く展開と違うことになった場合の準備を怠ってはいけない。

「僕個人として心がけているのは、基本的にネガティブな声はかけないこと。ポジティブな声を個人的にどんどんかけていこうと。そういったところはGKですし、どっしり構えていないといけません。何があっても」
 

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