【横浜】俊輔、アデ、学、翔、ラフィ。魅惑の“五重奏”はいかにしてハーモニーを奏でるか?

2015年04月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

アドリブもきかず、名演とはならなかった広島戦の“五重奏”。

63分からピッチに立った中村。確かな技術と戦術眼で好配球を見せたが、“五重奏”の中心としてハーモニーを奏でるまでには至らなかった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 もはやスクランブル状態で、誰がどのポジションに入っているかの判断は難しかった。
 
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 1点を追いかける終盤、横浜の前線の並びは、「一応、僕(伊藤)が一番前で、その下にアデ(アデミウソン)とラフィーニャという形」ではあったようだが、状況によっては「4トップみたいな感じになっちゃっていた」(伊藤)。
 
 明確に配置されていなかったのは致し方ないとして、それでもラフィーニャが投入された81分以降の横浜の攻撃陣は、贅沢な顔ぶれを揃えていた。
 
 中村、アデミウソン、齋藤、伊藤、ラフィーニャ。
 
 この5人が同時にピッチに立つのは、今季初めてのことだ。アデミウソン、齋藤、伊藤はスタメンで、中村とラフィーニャが途中出場。まさしく"フル装備"とも言える優れたタレントの集合体が、開幕から8試合目にしてようやく実現したのだ。
 
 ただし、5人の共存はアディショナルタイムを含めてわずか12分程度しかなかったこともあり、期待された破壊力も連動性も示せなかった。
 
 85分には、アデミウソン→ラフィーニャ→齋藤とつなぎ、齋藤がヒールで落としたところにラフィーニャと中村が反応するも、パスが乱れて相手にカットされてしまう。その1分後には、カウンターから中村→アデミウソン→伊藤とスピーディにボールを前に運んだが、伊藤のシュートは大きく枠を外れた。
 
 まるで機能しなかったわけではない。しかし、ゴールはおろか、決定機を作るまでにも至らなかった。待望の"五重奏"は重層的なハーモニーを奏でようとしたが、与えられたパートがはっきりしないまま、アドリブもきかず、名演とはならなかった。

次ページ中村とラフィーニャをいかに融合させるか。

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