U-24日本、田中&板倉の奮闘でボランチ競争激化!一方で「ポスト大迫&長友」問題は…アルゼンチン2連戦検証

2021年03月30日 元川悦子

攻撃の芽を摘み、長短のパスで敵を揺さぶり続けた田中

U-24日本代表でそれぞれの定位置を狙う選手たち。写真は左上から時計回りに、林、田中、板倉、古賀、旗手、田川。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

「次、負ければ、五輪だとしたら予選敗退になる。五輪優勝することが自分たちの目標でもあるんで、必ず勝点3を取れるように全員でやりたいと思います」

 29日のU-24アルゼンチン第2戦(北九州)を前に出場停止明けの田中碧(川崎)が強調した通り、26日の東京でのゲームを落としているU-24日本代表にとっては勝利が必須だった。

 第1戦ではご存じの通り、アルゼンチンの球際の強さと試合運びのうまさに戸惑い、セカンドボールを拾えず、主導権を握れなかった。しかもロングボールから崩され、突破を許し、エースFWガイチ(ベネベント)の一発に屈したのだから、悔しさが募ったはず。同じ轍を踏んでいたら、4か月後に迫った自国開催の五輪優勝どころか、1次リーグ敗退という最悪の結果もあり得る。そうなれば、U-24世代からA代表昇格者は限定的になり、「東京経由カタール行き」を果たす者も少なくなるだろう。

 少なからず危機感を抱いたであろう選手たちは奮闘。第2戦では前線からの連動したプレスと効果的なビルドアップでペースを握った。前半終了間際に追加招集の林大地(鳥栖)が待望の先制点をゲット。後半には久保建英(ヘタフェ)のCKをキャプテンマークを巻いた板倉滉(フローニンヘン)が2本続けて頭で押し込むゴールが飛び出し、終わってみれば3-0の勝利。長距離移動と過密日程の疲労が出て、相手の動きが非常に悪かったこともあるが、日本は巧みな修正力を示したと言っていい。

 この2連戦を踏まえ、A代表で手薄感のあったポジションに食い込みそうな人材を見てみると、やはり筆頭は田中碧だろう。「2試合ある中で1試合しか出れない状況で呼んでもらったので、それなりのパフォーマンスをしないといけない」と自身にプレッシャーをかけた彼は、これでもかというほど相手の攻撃の芽を摘み、中盤の底から長短のパス出しで敵を揺さぶり続けた。田中碧がいい形でボールを供給したからこそ、久保ら2列目が前を向けたし、得点も生まれたと言っていい。

 声で周りを鼓舞した点も特筆に値する。「試合中、碧にたくさん怒られた」と2学年上の板倉も苦笑いしていたが、年齢に関係なく指示を出し、周りを統率できるのは頼もしい限り。久保建英も同様だが、それくらいの物怖じしないメンタリティがなければA代表では生き抜いていけない。圧倒的インパクトを残した彼は改めてその資質を示してくれた。

 コンビを組んだ板倉もセンターバック(CB)で出場した初戦より動きがスムーズだった。所属先ではCBとしてロッベンらと対峙し、デュエルには自信をつけているというが、より攻撃的にいけるボランチの方が向いているのかもしれない。昨年のA代表4試合では同い年の中山雄太(ズウォーレ)に少し差をつけられた感もあったが、今回の働きで再び同じ土俵に戻った印象だ。25日の日韓戦(横浜)でブレイクした守田英正(サンタクララ)と同じく、やはり欧州で戦っているアドバンテージは大きい。この調子で成長を続ければ、五輪後のA代表で主力入りも視野に入るはずだ。

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