【湘南】ホーム初勝利をもたらした選手同士の緊急ミーティング

2015年04月30日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

横浜戦で3連敗を喫したあと、全員の力を結集する「原点回帰」を確認し合う。

島村(左)のゴールを祝福する高山(右)。湘南スタイルを貫き、原点回帰への手応えを掴む快勝劇となった。 写真:石倉愛子

 0-3で良いところなく3連敗を喫した7節・横浜戦の後日、湘南の選手全員が一堂に会し、緊急ミーティングを開いた。そこで主将の永木、副主将の坪井らが中心になり、率直な意見を出し合ったという。

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 前日には曺監督の雷が落ちていた(指揮官は鳥栖戦後の記者会見で、「監督として失敗してしまったことがあり、2日間ほど自分を責めた」と選手に謝罪していた)。
 
「俺たちが曺さんの熱さに応えないと」
 
「まず大切なのは、俺たちがどうするか。指示を待つのではなく、考えて行動しないといけない」
 
 とりわけ気掛かりな点として、失点直後に全体が急激にトーンダウンしてしまう悪い癖があると指摘する意見が出た。
 
「まず、ピッチに立っている選手同士で、悪くなった時に改善できないと勝てない」
 
 そして、こんなやりとりがあったという。
 
「失点したあとも、もっと前向きな声を出そう」
 
「それは大切なこと。ただ、ひとりが前向きな声を出すだけではあまり意味がない。みんなでひとつになってやっていかないと」
 
 一体感――。本来湘南が最も大切にしていたものが、特に横浜戦では欠けていた。1点取られたぐらいで、へこんでいる場合ではない。追い込まれた時こそ、湘南ベルマーレとしての真価が試される時だ。そうやって、選手たち自身が「ひとりの力で打開できるチームではない。だから相手よりも走り、粘って、思い切っていこう」と原点を見つめ直した。
 
 高山は具体的に次のように説明していた。
 
「横浜戦のように悪い状況に立たされた時、どのようにしたらいいのか分からないまま、みんなが必死にプレーしていた。でも一旦プレーを切って話し合ってもいい。『分からない』と思ったら、みんなで集まってどうすべきか確認すればいい」
 
 そういった修正が、この鳥栖戦では確かに見られた。
 
 チームとして「原点回帰」をテーマに臨んだ。大槻がCFに復帰し、前線からのプレッシングを強化。相手に考える時間を与えず、縦に素早く展開してゴールを陥れるという湘南が貫いてきたスタイルを徹底する。
 
 すると狙いどおりに開始10分、右サイドを打開した藤田征の高精度クロスから、高山のヘディングシュート(GK赤星に弾かれる)のこぼれ球を、ゴール前に詰めた大槻が「泥臭い自分らしいゴール」とねじ込み先制に成功した。実にこれが湘南にとって、リーグ戦4試合ぶりの得点となった。

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