【アルゼンチン戦|戦評】金メダル候補に“善戦”も相手は「1.5軍」。抱いたのは期待感よりも危機感だ

2021年03月27日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

コロンビア戦と同じような展開に…

アルゼンチンの粘り強い守備を前に、三笘の得意とするドリブル突破は数えるほどだった。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 五輪代表の対外試合は昨年1月のU-23アジア選手権以来、海外組を含めての活動となると、19年11月のコロンビア戦以来となった。そして、その時と同様に、同じ南米の強豪を相手に同じ失敗を繰り返した。

 試合2日前のオンライン会見で、そのコロンビア戦について、久保建英は「先にゴールを許してしまった後、自分たちの流れに持っていけなかったのが良くなかった」と振り返った。47分に先制を許すと、守備的に戦う相手に球際でことごとく負け、攻撃の形を作れないばかりか、逆に追加点を決められて、0-2で敗れている。

 中山雄太や板倉滉、久保らの主力がその時以来の招集となったアルゼンチン戦は、17分に左SBに抜擢された旗手怜央が久保とのパス交換からチャンスを創出。敵のシュートが2本クロスバーに当たるなど、ツキも味方していたが、21分に、カウンター一本で注意していたはずの先制ゴールをあっさり奪われてしまう。

 板倉滉がマティアス・バルガスとの1対1の勝負で振り切られ、最も警戒していたCFアドルフォ・ガイチに得意のヘッドを叩き込まれた。

【動画】日本が金メダル候補に善戦!U-24アルゼンチン代表戦のハイライト
 久保は試合後に「決めるか決めないかの差で勝負が分かれる」と語ったが、問題はここからだ。コロンビア戦と同様の展開となり、このビハインドを挽回できるかどうか、このチームの実力が試されるところだった。

 だが、「時間稼ぎとか、自分たちのサッカーはせずに、日本に合わせてきた」(久保)アルゼンチンを相手にボールは保持するものの、「持てていたというよりは、もたされていた」(板倉)状況で、敵の組織的な守備を崩しきれない。中山と渡辺皓太のダブルボランチからいわゆる「攻撃のスイッチを入れるパス」が繰り出されることはなく、1トップに入った田川亨介へパスをつけても、屈強な敵CBに防がれる。

 頼みの久保は厳しいマークに遭い、その19歳との初共演が期待された三笘も、右SBエルナン・デラフエンテの粘り強い守備をこじ開けられず。唯一沸かせた27分の突破も、最後は敵のカバーリングに阻まれており、Jリーグを席巻している得意のドリブルで切り崩す場面はほとんどなかった。むしろ、66分からこの三笘に代わって入った相馬勇紀のほうがインパクトでは上回ったか。

「足下だけだと怖くないので、田川選手にロングボールを積極的に放り込んでいくようにした」(久保)という後半はさらに攻勢を強め、田川や久保が絶好機を迎えたが、最後まで決め切れなかった。

【PHOTO】U-24日本0-1U-24アルゼンチン|久保・三笘らチャンスを作るもゴールをこじ開けられず… 3日後の再戦に期待

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