金田喜稔がアルゼンチン戦を斬る!「“突破できない”三笘。だからこそフルで使えばチャンスを作れたはず」

2021年03月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

ある意味、三笘はその実力を認めさせた

相手は人数を割いて三笘を止めにきた。それだけ警戒されていた証拠だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表の3月シリーズは、U-24アルゼンチン代表と2回、対戦する。3月26日に行なわれた第1戦は0-1で敗れた。

 試合の入りはアルゼンチンのほうが良かった。21分にガイチが先制点を奪う前にも、2度ほど決定機があったはずだ。

 この試合、唯一のゴールシーンで日本の守備はどうだったか。板倉がバルガスに振り切られてクロスを許し、ガイチにヘディングシュートを決められた。ガイチへの対応で菅原は遅れてしまったし、板倉もバルガスを止められなかった。クロスを"上げさせない"、シュートを"打たせない"、そうした最後の局面での厳しさが足りなかったと思う。

 この1点が日本に重くのしかかった。日本にもチャンスがなかったわけではない。でも、アルゼンチンの堅い守備を最後まで崩し切ることができなかった。

 守ろうとしたら、アルゼンチンは強い。同じ南米大陸にはブラジルがいて、このサッカー大国に勝つにはどうすればいいか、ライバル国の攻撃力をいかに抑えて勝機を見出すか。そうやって長い歴史を刻んできたんだ。根本的な守備力が違うのはしょうがない。1点あれば十分。守り抜けるというメンタリティがある。

 今回のチームも組織的かつ強度の高い守備を見せていた。相手のボールホルダーに即座に詰めてくるし、仕掛けられても簡単に下がらない。中央を固めたうえで、サイドに逃がせば、それぞれマークに付きながらもしっかりとスライドして対応する。ライン間もコンパクトに保てているから、チャレンジ&カバーもスムーズだった。

 リードを得たアルゼンチンは、無理に前には出てこなくなる。守り切る自信があるからだ。日本がボールを持って、パスを回す時間も増えてくる。だからといって、決定的なチャンスを作れていたかと言えば、そうではない。シュートコースには必ず相手のDFが立ちふさがるし、ゴール前になかなか入れさせてもらえなかった。
 大きな注目を集めた三笘も、アルゼンチンの守備網をこじ開けられなかった。縦をケアされ、カットインや横パスのコースも警戒されて、背後からも相手に寄せられる。そこまで分厚く守られたら、さすがの三笘も苦労したと思う。

 見せ場は少なかったかもしれない。でも、それで三笘は不出来だったという評価は違うと思う。相手は人数を割いて三笘を止めにきたんだから、ある意味、その実力を認めさせたことだよね。

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