J1で躍動する兄の背中を追って。レジェンドの薫陶を受ける鹿島ユースの垣田将吾が高校最後の1年に懸ける想い

2021年03月22日 安藤隆人

兄は徳島のエースである垣田裕暉。兄弟特有の反骨心が根底に

サニックス杯で3得点を挙げ、準優勝に貢献した鹿島ユースのFW垣田。写真:安藤隆人

「最初は比べられているのが悔しかったのですが、今はああやってJ1でも活躍していて、光栄だと思うし、尊敬できるお兄ちゃんだと思っています」

 サニックス杯ユースサッカー大会2021において、準優勝に輝いた鹿島アントラーズユース。前線でポストプレーから裏への抜け出しまで躍動感のあるプレーを見せたFW垣田将吾は、自身の兄について聞かれるとこう口を開いた。

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 フィジカルの強さと高さを武器に、前線で正確なポストプレーを見せ、常に周囲に首を振りながら、ギャップに飛び込んでボールを引き出す。ゴール前に迫力満点の飛び出しを見せる彼の兄は、鹿島ユースのOBであり、現在はJ1の徳島ヴォルティスでプレーをするFW垣田裕暉だ。

 裕暉は2016年にトップ昇格をすると、ツエーゲン金沢を経て、2020年に徳島へ加入。昨季はJ2でリーグ19ゴールをマークし、J1昇格に貢献。今季もすでにエースとして2ゴールをマークしている。

 ポジションは同じFW。幼い頃からずっと比べられてきたこともあり、将吾の中では「お兄ちゃんに勝ちたい」というライバル視とある意味、兄弟特有の反骨心が根底にあった。だが、心のどこかでは兄を心から尊敬している気持ちはあった。

 群馬県で生まれ育った垣田兄弟は、裕暉が中学進学時に鹿島ジュニアユースに入ることをきっかけに、父と祖母を群馬に残し、母と将吾は裕暉が自宅から通えるように共に鹿島に引っ越した。そして、裕暉が寮のあるユースに昇格すると、母と共に群馬に戻るために将吾は小3で転校。だが、兄の姿を見て「僕も鹿島の下部組織でプレーしたい」と強く思うようになった将吾は、自宅からギリギリ通える鹿島つくばジュニアを選択。母は将吾をほぼ毎日往復3時間をかけて群馬からつくばへ車で送り迎えをしてくれた。

「両親は本当に僕らが大好きなサッカーをやるために支えてくれた。お兄ちゃんの時もそうだし、僕も毎日学校が終わると、学校までお母さんが荷物を全部用意してくれた状態で迎えにきてくれて、片道1時間半かけて練習場に行って、18~20時の練習の2時間をずっと車で待ってくれて、それで終わったらまた片道1時間半をかけて家に帰る。つくばジュニアユースを卒業するまでずっと続けてくれた。本当にしんどかったと思うのですが、『お兄ちゃんのようにいい環境でサッカーをやらせてあげたい』という気持ちでお父さんもお母さんもいてくれて、それはすごく嬉しかったですし、絶対に気の抜いたプレーはできないなと」
 

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