「成長スピードはS・ラモスを彷彿」セビージャで躍動するフランス産22歳CBの“計り知れないポテンシャル”【現地発】

2021年03月15日 エル・パイス紙

「空中戦で無類の強さを発揮する」

印象的なヘアスタイルでも注目を浴びるクンデ。メガクラブ行きは間違いなしの超有望株だ。(C) Getty Images

「直観力と万能性。ジュル・クンデを表すなら、この2つの言葉が相応しい」

 今シーズン、セビージャで目覚しい活躍を見せている22歳の新鋭CBについて、同クラブのモンチSD(スポーツディレクター)はこう評する。

 2019年夏にセビージャが獲得のために投じた金額は、2500万ユーロ(31億2500万円)。インセンティブとして付与される基準を全て満たせばクラブ史上最高額の移籍金となるが、当時まだボルドーの選手としてトップカテゴリーで70試合に出場したばかりの若手だった。

 改めてモンチの慧眼が実証された形だ。ただ昨年9月マンチェスター・シティから舞い込んだ5500万ユーロ(約68億円7500万円)のオファーを拒絶したが、今シーズンのパフォーマンスとモンチが「頭の回転が速く、新しいものをどんどん吸収してしまう」と舌を巻くそのポテンシャルを考えれば、今夏の売却(契約解除金は9000万ユーロ=約112億5000万円に設定)はもはや不可避な情勢だ。

 足下のテクニックに優れ、上背がそれほどない(178センチ)にもかかわらず、ハイボールに強い。その活躍に比例して、セビージャのカンテラ出身でもあるセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)と比較する声が高まっているが、現在その下部組織のコーディネーターを務めるパブロ・ブランコもそのひとりだ。

「ジュルの成長スピードはセルヒオを思い起こさせる。将来性は群を抜いている。基本となる技術がしっかりしていて、プレーのレパートリーも豊富だ。セルヒオと同じく、空中戦で無類の強さを発揮する。中でもわたしが気に入っているのが天性のバネだ」

【動画】攻撃性能も抜群!バルサ戦でクンデが決めた衝撃の"3人抜き弾"(1分~)
 
 ジュレン・ロペテギ監督も賛辞を惜しまない。「この2年間で大きな進化を遂げた。しかもまだまだ若い。これからさらに成長し続けなければならない」。指揮官が急激な成長曲線を描いている要因として指摘するのが貪欲に学ぶ姿勢だ。

「ジュルはサッカーを愛している。資質を持つことはもちろん重要だ。でもジュルにはそれに加えて学びたい、成長したいという貪欲な向上心がある」

 NBAのファンでもあるクンデの当面の目標の一つがフランスのA代表デビューを飾ることだ。ラファエル・ヴァランヌ(マドリー)、プレスネル・キンペンベ(パリ・サンジェルマン)、クレマン・ラングレ(バルセロナ)、クルト・ズマ(チェルシー)、エメリック・ラポルト(マンチェスター・シティ)、ダヨ・ウパメカノ(ライプツィヒ)、リュカ・エルナンデス(バイエルン)、イブライマ・コナテ(ライプツィヒ)ら"レ・ブルー"のCB陣には錚々たる顔ぶれが並ぶ。しかし、クンデには熾烈な競争に臆する気配は微塵も感じられない。

文●ラファエル・ピネダ(エル・パイス紙セビージャ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事を翻訳配信しています。
 

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