【連載】識者同士のプレミア放談「ポチェティーノのノリは部活の先生!? スパーズとセインツを語る」

2015年04月24日 田邊雅之

ケインが象徴するように若手には爆発力がある。

今回のテーマはEL出場権を争うトッテナムとサウサンプトン。識者2人の見解は――。 (C) Getty Images

田邊雅之:お疲れさまです。CLの準々決勝、面白かったですね。日本でもすごく盛り上がりました。
 
山中忍:こっちもそうですね。イングランド人はドイツなんか全然好きじゃないのに、やっぱり話題になっていて。でもプレミア勢はいないんですよね(苦笑)。
 
田邊:そうですよ。まるでこれじゃあ、昔の「ホーム・インターナショナル(※)時代」みたいじゃないですか。(※英国4協会だけで行なわれていた国際大会。1984年に廃止)
 
山中:すみません、うちのチェルシーが残っていたら、僕たちもCLの話ができたのに……。
 
田邊:まあ、チェルシーに関してはマンチェスター・ユナイテッド戦の大一番もありましたし、いずれどこかのタイミングで語り合うとして、密かに気になっているのがトッテナムなんですよね。
 
山中:チェルシーについては優勝が決まった時にでも、それこそ田邊さんがうんざりするくらい話し合えるでしょうから(笑)。
 
 真面目な話、僕もスパーズのことは引っ掛かっていました。心の隅にですけど。たしかに今節は3-1で勝った。ケインがゴールを決めてリネカー以来、スパーズの選手としてシーズン30点の大台に乗せるという話題もあったんですが、相手は6連敗でフリーフォール状態のニューカッスル。
 
 2節前は降格圏のバーンリーに0-0で引き分けて、前節はなんとアストン・ビラに0-1で負けてしまっている。なかなか素直には褒められない。
 
田邊:そう。明らかに勢いがなくなってきていた。サウサンプトンをかわして6位に浮上したといっても、シーズン当初に期待されていたような勢いの良さがあまり感じられないんですよね。
 
山中:プレミアでは比較的上のポジションにいるけど、トップ争いに絡めるわけでもなければ、CL出場枠の確保が有望視されているわけでもない。むしろ5位に食い込んでELという欧州残念賞をもらえるかどうかがポイントになっている。
 
 地元ファンは相変わらず「グローリー・グローリー・スパーズ」とか歌ってはしゃいでるけど、実際にはそんな淋しい立ち位置が最近のパフォーマンスに反映されている気がする。『サン』では、にもかかわらずのレビー会長「年収50万ポンド(約8500万円)アップ」が叩かれて。
 
田邊:そういう意味では、前回取り上げたシティに通じるところがあるのかなと。たしか『ミラー』が以前にちょっとだけ触れていたと思うんだけど、スパーズは4年連続でEL組になっている。監督はポチェティーノに代わったけど、一時期はCLに手が届きそうもない沈滞ムードが完全に漂っていた。
 
山中:面子だけをみると、それほど悪いチームじゃないんですけどね。ケインが象徴するように若手にはすごく爆発力があるし、リードして波に乗った時にはそれこそ止まらなくなる。でも失点すると一気にムードが変わってしまうんですよ。得点パターンは増えているのに、勝ち方を知っている人がいないというか。
 
田邊:ニューカッスル戦も、スコアほど楽な戦いではなかったわけで。
 
山中:せっかく前半を1-0で折り返したのに、後半、いきなり同点に追いつかれてしまう。戦い方が「若い」ですよね。
 
田邊:個人的にはエリクセンとかも好きなんだけど、チームの中心になれるような「核」がいない。昔だったら、苦しい状況の中でも、ベルバトフが喫煙の影響を微塵も感じさせずになんとかしてくれるとか、キングやハドルストンのように、見た目だけでも安心感を与えられる選手がいたのに。
 
山中:デフォーが誰も予想していない時に、誰も予想していないようなゴールを決めるとかね(笑)。いまのスパーズで安定したパフォーマンスを披露しているのはGKのロリスぐらい。
 
田邊:でも顔が優しすぎるから、彼にしても頼れるリーダーという感じがあまりしない(笑)。

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