「最後のシーズンにCLへ」長谷部誠、フランクフルトとの契約延長に込めた思いを明かす!「スパイクを脱ぐならファンの前で…」【現地発】

2021年03月11日 中野吉之伴

「チームは若返らないといけないと思っていた」

契約更新後の記者会見で、率直な想いを明かした長谷部。 (C)Getty Images

 コロナ禍の影響など想像もしていなかった、2016年12月21日のマインツ戦だった。試合前に長谷部誠の契約延長がアナウンスされたとき、スタジアム中のファンから大きな歓声や拍手が送られたことを思い出す。

 4年ちょっと前の思い出だ。日本人MFのキャリアハイはあの頃からまだ続いている。今思えばむしろ、あの頃はまだ成長過程だったのではないかとさえ思う。

 当時、彼は「ファンにそういう風に受け入れてもらえるというか、感じてもらえるのは、選手として非常に嬉しいこと」と語っていた。

「自分の中では昨シーズンに続いて今シーズンも、ドイツに来てから一番充実感がある。プレーヤーとして、経験の面で成熟度は増している。この2年くらいはキャリアハイなのかな?という感覚も、正直ある。それを維持するのではなく、これからまたさらによくする部分を求めていきたい。サッカーをやっていても楽しいんです」

 そして月日は流れ、37歳の長谷部誠は、2021年夏までだったフランクフルトとの契約を、一年延長した。これで、ブンデスリーガ14年目を迎えることになる。

 3月10日に行なわれたリモート会見に登場したベテランは、現在リーグ4位につけているフランクフルトでキャプテンを務め、ボランチの位置から攻守にわたってゲームをコントロールしている。シーズン前半はベンチスタートの日々も続いたが、本人は契約更新に焦りはなかったそうだ。
 
「今年に入って中盤でプレーし、自分の中でまだボランチでこれだけできるんだという感覚が出てきたのが、ここ1、2か月くらい。チームとしても若返りをしなければいけないと話していたし、自分自身もそう感じていた。そんななかで、また中盤で存在感を出せるようになると思っていなかった」

 ただ、試合を重ねるごとにチームに欠かせない存在になっていく長谷部を、クラブが放っておくわけもない。契約延長に際してのやり取りは、とてもスムーズだったそうだ。

「2~3週間前にフレディ(・ボビッチSD)と朝食をとっていて。そうしたら、フレディが『どんな感触?』と聞いてきたので、僕は『すごくいい感じだよ』と答えました。そうしたら彼のほうから、『もう1シーズンプレーする気はある?』と尋ねてきたので、僕は『喜んで。まだプレーしたい』って答えたかな。

 そうしたら翌日にもう代理人から電話があって、あとはあっという間だった。監督とも話をして、監督も僕と一緒にやりたいと思ってくれていた。それが一番大事ですよね。金銭関係の話とか、交渉事はなかった。まあ3年契約にサインしたかったけど、1年で大丈夫(笑)」

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