【鳥栖】期待の新戦力、山下敬大は決定力不足解消の切り札となりえるのか? “背番号9”に込めた覚悟とは…

2021年03月07日 荒木英喜

「決めきるというところに今季はこだわってやりたい」

浦和戦で2ゴールを挙げた山下。かつてF・トーレスも付けた“9番”を背負い、今季は二桁得点を目指す。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ2節] 鳥栖2-0浦和/3月6日(土)/駅前不動産スタジアム

 鳥栖のFW山下敬大がJ1初ゴールを含む2ゴールで、チームを6年ぶりの開幕2連勝に導いた。

 山下は自身の2ゴールについて、「1点目は(本田)風智が良い形で持ってシュートまでいってくれたのが大きかった。GKが弾いたところは狙ってやろうという気持ちでいたので、相手より先に反応できて良かったです。2点目も(飯野)七聖の仕掛けから(樋口)雄太が良いボールをくれたので、うまく合わせることができた」と冷静に振り返った。

 前節の開幕・湘南戦ではスタメンでJ1デビューを飾ったが、思うようにチャンスに絡めず、63分で交代を命じられた。彼にとってはほろ苦いゲームとなってしまったが、金明輝監督は1試合で見限ることはせず、今節も先発起用。その期待に山下は結果で応えてみせた。

 沖縄キャンプ中のリモート取材で山下は、「鳥栖のスタイルの中で何を大切にしないといけないと感じているか?」という質問に対し、「ゴール前ですね。(シュートを)決めきるというところに今季はこだわってやりたいと思っています。そこを一番に意識しています」と答えていた。今回、まさにそれを体現した形となったのだ。
 
 世界的なストライカーとして名を馳せたフェルナンド・トーレスが、鳥栖在籍時にも背負っていた"背番号9"を選んだのも、ストライカーとしての覚悟の表われ。「鳥栖で9番を背負う意味は、選んだ時に理解しているつもりです。あまり抱え込み過ぎないようにはしていますけど、点を取るという使命は9番を着けている以上は果たさないといけない」と話した。

 福岡県出身の山下は、「(試合が)終わってからジワジワと感じてきている部分はあるんですけど、メンバーに入っていない選手の分まで背負ったり、ファン・サポーターがこれだけ素晴らしい雰囲気を作ってくれているなかで、ホーム開幕戦に絶対に勝つという気持ちで臨みました」と、地元・九州のJ1クラブでプレーする喜びと同時に責任も感じている。

 だからこそ、「2得点で勝利に貢献できたことは良かったと思いますけど、まだまだ得点以外の部分ではもっと質というか、一つひとつのクオリティを上げていかないといけない部分がたくさんあるので、映像を見返して修正していきたい」と、反省点を口にした。

 今季掲げた個人の目標は「10ゴール・10アシスト」。プロ4年目とはいえ初めてのJ1、しかもJ2でも二桁ゴールは山口時代の2019年シーズンに一度達成しただけで(11得点)、高い目標にも思える。だが浦和戦での活躍で、目標をクリアするだけのポテンシャルがあることを示した。

 ここ数年、決定力不足が課題に挙げられている鳥栖だが、彼がその問題解決の切り札になるかもしれない。

取材・文●荒木英喜

【動画】山下敬大がJ1初ゴールを含む2ゴール! 鳥栖対浦和のハイライト

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