城彰二氏以来、27年ぶりの快挙!ジェフ千葉の高卒ルーキーはなぜプロデビュー戦弾を決められたのか?

2021年03月02日 松尾祐希

中学までは無名の存在。急成長を遂げた高校時代にスカウトが見た印象は?

修徳高から加入したブワニカ啓太がJ2開幕戦でデビュー戦ゴールを決めた。写真:田中研治

 クラブの高卒選手では実に27年ぶりの快挙だ。

 今季、修徳高から加入したジェフ千葉のブワニカ啓太はヴァンフォーレ甲府との開幕戦でベンチ入りを果たし、後半開始からピッチに登場。すると、57分に安田理大のクロスボールに合わせ、ヘディングで同点弾を叩き込んだ。高卒選手の開幕戦弾は、1994年に開幕から4試合連続ゴールをマークした元日本代表の城彰二氏以来。Jデビュー戦でプロ初ゴールを決め、偉大なOBの記録に並んだ18歳の若武者からは笑みが溢れた。

 試合中に足首を痛めた船山貴之に代わり、後半から出番を得たブワニカ。「運動量からボールに関与できる選手」とユン・ジョンファン監督が称する通り、最前線の位置で左右に流れながらパスを引き出し、185cmの体格を生かした空中戦の強さで攻撃の起点になる動きを繰り返した。57分に奪ったゴールも自身が右サイドに流れ、クロスを上げたプレーがきっかけ。左サイドに流れたボールを再び繋ぎ、安田が入れたクロスにファーサイドで合わせた。

 正式にチームに加わってまだ約2か月。プロサッカー選手としては線がまだまだ細い。プレーの引き出しや戦術理解もまだ深めている最中だ。しかし、開幕戦では攻撃の起点として機能したのは間違いない。ファーストプレーでは難しい体勢からいきなりシュートを放つなど、物怖じないメンタリティも高校生離れしていた。

 では、なぜブワニカはデビュー戦で良質なパフォーマンスを見せられたのか。その答えは高校ラストイヤーにある。

 松戸六中時代は県大会に出場したのみで、トレセンは松戸市選抜止まり。修徳高に進学できたのも全国中学校サッカー大会の出場権を賭けた松戸市大会で可能性を示したからだった。

 高校入学後はレベルの高さに戸惑ったが、ウガンダ人の父とサッカー経験者の母から譲り受けた持久力と運動能力を見込まれ、1年次からトップチームに帯同する。そして、迎えた高校2年生の春。同期の大森博(現・徳島ヴォルティス)を視察すべく練習試合に訪れていた稲垣雄也氏(当時・千葉スカウト。現クラブ・ドラゴンズ柏U-12監督)の目に留まり、Jクラブから注目されるようになった。当時の印象を稲垣氏はこう語る。

「最初に見た時に将来性を感じました。目についたのは運動量。そして、ベンチなどでの振る舞いを見ていると、間違いなく愛されキャラだというのも分かりました。人を惹き付ける魅力も含め、そこから気になる存在になりましたね」

【動画】ブワニカ啓太が決めた27年ぶりのジェフ新人の開幕デビュー戦弾!

次ページ11月から入寮しコンディションも安定。早い時期から準備を進め開幕戦へつなげる

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事