【岩本輝雄】システム“5-0-5”など変幻自在のコンサドーレ。打倒フロンターレの急先鋒になるか!?

2021年03月01日 岩本輝雄

大卒ルーキーの小柏は楽しみだ

攻撃のキーマンであるチャナティップも随所に好プレーを見せていた。今季はどんな美技を見せてくれるか。写真:田中研治

 コンサドーレにとっては、最高の形で開幕戦を終えたんじゃないかな。

 ホームに横浜FCを迎えた一戦で、5-1の圧勝。前半だけで4得点。決定機の数を考えれば、もっと取れていてもおかしくないゲームだった。

 コンサドーレの良いところを存分に出せていたと思う。一人ひとりが有機的に動いて、選手の立ち位置も流れによって目まぐるしく変わる。

 基本布陣は3-4-2-1だと思うけど、両サイドは高い位置を取るから3-2-5とも言えるし、後ろからのつなぎではボランチの宮澤が落ちて4-1-5、さらには相手の状況を見て、ボランチの駒井もすっと下がって5-0-5のような並びにもなる。

 陣形が変形しても、ボールはスムーズに回る。たとえば、リベロのキム・ミンテが斜め前に出て、相手のFWとサイドハーフの間にポジションを取る。それを警戒して相手のサイドハーフが中に絞ってくれば、大外に回ったストッパーの田中がフリーになって、サイドで2対1の局面を作る。

 これはほんの一例だけど、こうした優位性を作るのがコンサドーレは本当に上手い。ペトロヴィッチ監督の下、質の高いトレーニングができていて、練度もますます高まってきていると思う。

 しっかりとボールを握って、自分たちのペースで試合を進め、前線にボールが入れば1トップ+2シャドーが良い距離感で連動したアタックを披露。ポゼッションに相手が食いついてくれば、すかさず背後を狙ったロングボールで両サイドを走らせる。守備では、キム・ミンテを中心とした3バックの前に宮澤が陣取って、菱形のようなブロックを形成。不用意にスペースを与えず、相手の攻撃を撥ね返す。
 
 キム・ミンテに関しては、対人ではほとんど負けていなかったはずで、強固な壁になっていた。昨年は先発から外れる時期もあっただけに、今季にかける思いは相当に強いはず。その並々ならぬ気持ちが伝わってくるパフォーマンスだった。

 先制点を決めた駒井も調子が良さそうだね。相手の2トップの間に上手く入ってボールを出し入れしながら、揺さぶりをかける。そこから前に出ていって、ゴールやアシストなど決定的な仕事にも絡む。かなり利いていたと思う。

 楽しみなのが、大卒ルーキーの小柏。シャドーの一角で先発して、持ち前のスピードを武器に存在感を発揮していた。練習生だった去年から知っているけど、当時から可能性を感じさせるプレーを見せていたし、今後の活躍に注目したい。

 チームとしても、個としても、充実の戦いぶりを見せたコンサドーレが、開幕戦の勝利でさらに勢いづくか。打倒フロンターレの急先鋒になれば、リーグはさらに盛り上がるだろうね。

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