新生レッズの軸を担うのは17歳差のボランチコンビ!阿部勇樹&伊藤敦樹の絶妙な関係

2021年02月28日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

コンビを組んで約1か月強とは到底思えないバランス

絶妙な関係でチームのバランスを取る阿部(左)と伊藤(右)。新生レッズの軸となり得る。(C)SOCCER DIGEST

[J1第1節]浦和1-1FC東京/2月27日/埼玉

 ここ2シーズン二桁順位と低迷していた浦和レッズは今季、リカルド・ロドリゲス監督を招聘し、大きな変革期を迎えている。

 スペイン人指揮官の下で目指すのは、ポジショナルプレーを軸とした流動的な攻撃サッカーだ。FC東京との開幕節では、1-1の引き分けに終わったものの、新たなスタイルの一端を垣間見せた。

 敵陣のスペースに絶え間なく動き続けながらボール支配を図るサッカーは、いまだ連係面やスピード感などに課題を残しながらも、低くない水準で体現できたと言っていいだろう。

 そんな新生レッズの軸となりそうなのが、4-2-3-1のダブルボランチ、阿部勇樹と伊藤敦樹だ。

 歴代最長のJ1在籍23年目を迎えるベテランの阿部が最終ラインの中央に下がりながらビルドアップの起点となれば、流経大から加入1年目の伊藤は、阿部よりも前方に位置して巧みなサイドチェンジで前線の動きを促した。

 また守備では、いずれも気の利いたポジショニングでスペースを埋めてピンチの芽を摘み取る。伊藤がボールホルダーに寄せれば、その後ろで構える阿部が鋭い読みで流れてきたボールを奪うのだ。
 
 その関係性は絶妙。伊藤が「僕も気にしていないわけでないけど、阿部さんがバランスを取ってくれている」と話すように阿部の職人技によるところが大きいのかもしれないが、それにしてもコンビを組んで約1か月強とは到底思えない。明本考浩、小泉佳穂、汰木康也ら2列目の3人が自由に動き回っても陣形が崩れなかったのは、このふたりが後方から支えていたからである。

 伊藤は「阿部さんといつも気にかけているのは、ふたりの距離感、攻めている時の後ろのリスク管理や、攻撃の立ち位置。そこはお互いを見ながらバランスを取るようにしています」と言う。

 一方でパートナーの阿部については「隣でプレーしていて、ポジショニング、守備の察知能力、セカンドボールを拾う動きだったり本当に学ぶことは多い」と尊敬の弁を語る。

 ポジションを幅広く動きながら展開する戦術において、ふたりのこうした働きがチームの安定感につながっているのは明らか。今季キャプテンを担う阿部は「監督が変わって最初の開幕戦だったので、まず自分たちがやってきたことをピッチの上で出そうと思っていました。出せたシーンは多くあったかなと思います」と語ったのは、まず自分たちがそれなりの働きができた手応えがあったからだろう。

 39歳の阿部、22歳の伊藤。この17歳差のボランチコンビが新生レッズの軸となるかもしれない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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